グランド・フィナーレ 公演情報 富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ「グランド・フィナーレ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    骨太な気持ち悪さ。
    この気持ちの悪い短篇小説の舞台化を楽しみにしていた。
    そして、その気持ち悪さが舞台にしっかり載っていたことが気持ち悪かった。
    食い入るように舞台を見張り続けた。満足であった。

    脚本と演出が原作を上手く再構成できたからに他ならない。
    小説とは違う形で、解答が導かれたことは、喜ばしい。

    佐藤(松田洋治)の内に込めた歪みの発露も悪くなかったし、
    それを取り巻く人物やら、佐藤の自意識やらがなかなかに凝っている。

    キラリ☆ふじみが、今後も骨太な舞台作りに寄与してくれることを望む。
    遠くても通いたくなる劇場が増えることは嬉しいことだ(辛いけどね)。

    ネタバレBOX

    まさか、音楽劇ふうにまとめてくるとは思わなかったから面食らった。
    結果的に、そんなに嫌な感じはしなかったが、過分なことだと思う。

    佐藤のまわりにサトーズと呼ばれる、佐藤の分身を配置したことは、
    結果として、「グランド・フィナーレ」の主人公を解体できていると思う。
    歪んだ愛というか、ずれた考えというか、そういったものを分散したことで、
    佐藤の世界観を存分に見せつけることに成功している。
    そこは、今回一番魅せられたところだ。

    ラストに関して、佐藤に希望があるような終わり方を見せたことに関しては、
    ちょっと疑問を抱かないでもない。
    少なくとも原作では、さらに歪んだステージが始まろうとしているのだから。
    そこに関しては、岩井さんに訊きたいなぁと思った次第。
    キレイな終わり方であったとは思うけれど。

    アフタートークについても一言。
    生田萬芸術監督が言うように、「9.11」を想起させる作品として、
    僕はこの短編小説を捉えてはこなかった。
    なるほど。原作でもちーちゃん(佐藤の娘)は、9月11日が誕生日である。
    まあ、舞台においても、重要なファクターとはなっていなかったから、
    特に気にも掛けてはいなかったが、当然の指摘であるとは思う。

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    2009/02/11 23:41

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