『ゴールデンバット』『セブンスター』 公演情報 うさぎストライプ「『ゴールデンバット』『セブンスター』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    上演前には「青春時代」「なごり雪」などの昭和歌謡が流れており、その時に青春時代を謳歌、過ごした人達には懐かしい曲ばかり。歌手を夢見て上京した女の半生を喜怒哀楽をもって描いた一人芝居である。自分では何故か”悲哀”という言葉が浮かんでしまう。
    「ゴールデンバット」(国内で販売されているタバコの中では現役最古の銘柄らしい。翻って人の夢…時代は移ろうともそれを持つことは変わらないということだろうか?)
    (上演時間1時間10分)

    ネタバレBOX

    セットは、中央に逆さまにしたビールケース、やや下手側に折りたたみパイプ椅子・マイク・ペットボトルが置かれ、天井にミラーボールという、ほぼ素舞台である。

    全体観…当日パンフによれば、かつて歌手を夢見て宮城県から上京した「海原瑛子」の人生を、現在東京の地下アイドル「憂井おびる」(元:梅原純子)の視点を通して追っていく物語と説明されている。菊池佳南さんの一人芝居であることから、瑛子(60歳前後)とおびる(実31歳、自称26歳)という人格を行き来し昭和歌謡曲を挿入しつつ物語を紡いで行く。舞台空間を菊池さんが縦横無尽に動き回り、明るく楽しく、時に切なく悲しく演じ分ける。その表情・表現力は実に見事であり、歌謡ショーのようでもあった。

    物語は、純子が池袋パルコ前でビールケースの上で歌っている瑛子のことをマネージャーであり恋人である角田義晴に語りだす。それがいつの間にか”瑛子”自身の語りにすり替わってくる。昭和時代に遡り「木綿のハンカチーフ」「かもめが翔んだ日」「喝采」「イエスタディ」などの曲が歌われ出す。曲によってはミラーボールの輝き、葉影の照明など舞台技術にも工夫が見られる。

    演技は、瑛子と純子で声トーンや口調・速さを変え人物の違いを強調させていた。またビールケース上での歌はもちろん、パイプ椅子に片足を乗せたり、舞台裏に回り込むなど躍動感溢れる動きが人物を生き活きとさせていた。

    構成は、純子の視点で始まり瑛子の半生に移り、再び純子へ戻る。そこに倒錯的な意味合いも感じられ、今の純子-喪服の似合う未亡人アイドル-という売り込みは、瑛子が夢見た歌手での栄光に繋がるのか。現在と過去のアイドルの意識が入れ替わるようで、同じような途を辿るのか、少し悲哀を感じてしまった。

    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2017/12/06 11:37

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大