満足度★★★
映画のような、生々しい心理ホラー
カリスマ研究者の死後、狂信的な弟子たちが本当の「先生」の姿を巡って争う、静かなホラー芝居でした。淡々と自然な対話が交わされていくのは映画のよう。
登場人物一人一人を、レストランで一皿ずつサーブされるお料理をいただくように味わいました。役者さんの演技がきめ細やかです。意外なところから人間の本心がムクムクと出てくるのを、つぶさに観察していくのがとても面白かったです。一言ずつ積み上げられていく会話の意味を探りながら、じっくり楽しんだ2時間弱でした。
じわり、じわりと事件の真相に近づいていくにつれて、「先生」の存在のいかがわしさ、それゆえの偉大さと魅力に納得させられていきました。異常な関係や残酷な行為を知るにつけ、「もっとヤれ!」って言いたくなっちゃうような危険な欲望が自分の中に生まれてきて、ちょっと興奮(笑)。
ただ、グっとお話の中に引き込まれるまでに1時間ぐらいあったのは少々長く感じました。照明は意図的に一定の暗さを保っていたようですが、もっと大胆な変化があっても良いのではないかと思いました。
2007/03/28 12:46