三人義理姉妹 公演情報 年年有魚「三人義理姉妹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    当日パンフでチェーホフ「三姉妹」から着想したと記しているが、内容的にはオリジナル作品のようだ。そしてパンフには顔写真付で役者名・役名が載った相関図があり丁寧で分かり易い。
    本公演をもって一時休止するらしいが、この面白い芝居がしばらく観られなくなるのは残念である。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    セットは、上手・下手側に障子戸(障子紙がない桟のみ)があり、上部には欄間。手前中央にソファー・横長テーブル、その後ろは奥行きのある空間で大邸宅を思わせる。特に調度品はないが、棚台に花瓶が置かれており、時期に応じた花(例えば夏=向日葵)へ生け変える。床は畳ではなく赤い絨毯イメージか。

    物語は代議士であった亡父の一周忌法要。後継として立候補を目指す二男が、法要兼立候補表明の挨拶の練習をしているところから始まる。この家は独身の長女(中学校副校長)、長男(無職)と嫁(看護師)、二男(政治家)と嫁(主婦)一人娘(中学3年生)という、タイトル「三義理姉妹」が同居している。場面は大括りでみれば、先の法要(5月5日)、同年夏(8月8日)、そして11月中旬(17~18日)の3場面。この日付はテロップで説明する。
    法要の場面を通して、この家族とこの家に関わる人物紹介をしていく。夏の場面は議員になった二男の政治家としての生活や反抗期?の娘との関わり、さらに姉の職場(中学校)の年下教師との恋愛、長男の不倫など姉・兄そして娘のそれぞれの騒動が面白可笑しく描かれる。もちろん政治家ならではのスキャンダラスな陰謀も織り込んで、議員という一般家庭とは違う要素を持ち込む。議員の妻は、その普通ではない家庭に対し不満と蟠りを爆発させる。

    人生は思うようにならない、それでもその情況に応じて生きていく。自分自身に素直になるか、情況に順応するか、人それぞれの考え方・生き方であると…。チェーホフの「三姉妹」に登場するプローゾロフ家の三姉妹…希望や夢を失っても人間は生き続ける。それに通じるところが垣間見える。
    その光景を時に掻き回しながら温かく見守るマダム、静かに制止するような家政婦の存在が妙味を出す。

    作り込まず骨格だけのセットは、人間の本質だけを抽出するもの。和室仕様でありながら洋風のイメージを持ち込むのは、この家族の歪さを浮き彫りにする。その心象形成は見事である。

    次回公演が早く観られることを希望しつつ…。

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    2017/11/17 12:06

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