トロイア戦争 公演情報 明治大学シェイクスピアプロジェクト「トロイア戦争」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    物語は、「恋愛」と「戦争」という2大テーマで「個人」と「国家」という異なる観点で描き、それを上手く融合して叙事詩のようにして観せる。
    脚本はシェイクスピアであるが、演出・舞台美術・技術はもちろん、衣装なども全て学生たちによって作られている。自分はあまり学生演劇は観ないが、明治大学のシュイクスピアプロジェクトの評判は高く、一度観劇したいと思っていた。
    また、当日パンフでも説明しているが、この作品はシェイクスピア劇でも異色とされているという。日本での上演機会が少ないことから興味を持って観た。
    (上演時間2時間30分 途中休憩15分含む)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、中央に段差を設け、その上部に大きな円柱が2つ間隔をあけ並び建つ、そのイメージは神殿であり高い城壁といったところ。上手側には同じような円柱が建つ台。シーンの状況に応じて移動し、神官の館などに見立てる。さらに上手・下手奥(後壁近く)に木片が乱立しているような。日本的な発想表現であるが、”塔婆”を思ってしまう。美しい舞台美術であるが、そこには7年にわたる戦争による死者へのメッセージ、疲弊した状況に対するアイロニーが込められているように思える。

    物語は、トロイとギリシャ連合軍によるトロイ戦争が始まって7年。トロイ王プライアムの末王子トロイラスは、神官の娘クレシダに恋焦がれている。クレシダの叔父パンダラスにより二人は結ばれ愛を誓い合う。しかし、トロイを裏切りギリシャ側についた神官は娘のクレシダとトロイの将軍との捕虜交換を求め、クレシダはギリシャに引き渡されてしまう。一方、トロイ王の長男ヘクターは膠着した戦況を打破するためギリシャ陣営へ一騎打ちの申し出を伝える……。

    本公演は、戦争という「戦い」と、駆け引きや裏切りが渦巻く男女の「愛」の二本柱からなる。さて「愛」は奪略愛の他、純愛から擬愛・偽愛へ変化するようでもある。話の背景は悲劇的であるが、愛のシーンでは客席からトロイラスがクレシダとダィアミディズの様子を窺い、一喜一憂する姿を喜劇的に観せる。舞台は客席と地続きになっており、登場人物たちは客席の間を縦横に動きまわり、観客に対しても語りかける。

    さて、戦闘シーンは敵味方を識別できるように衣装や旗の色を違えるなど工夫を凝らしている。しかし大団旗ほどではないが、旗を振っている格好はスポーツ競技における応援する姿を連想してしまい苦笑。
    ラスト…トロイの滅亡が宮殿セットを回転させることで端的に表わすところは見事。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/11/15 17:56

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