墓掘り人と無駄骨 公演情報 MCR「墓掘り人と無駄骨」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    初日の硬さが若干あるものの、飛び道具の劇的効果もあって大変楽しい。
    設定はざっくりしているが、実はなかなか緻密な構造で、このバランスが好き。
    恋ってつまりはこういうものなんだなと思わせるピュアなところが泣かせる.

    ネタバレBOX

    良くない輩がたむろする町の一角。
    殺し屋やホームレス(本井博之)、裏社会を相手にする医者(澤唯)が根城にしている。
    彼氏に振られた女佐藤(佐藤有里子)と殺し屋の川島(川島潤哉)は運命的な出会いをする。
    そして佐藤は川島に、元カレ殺しを依頼する。
    一方5年前に何者かに両親を殺された靖明(堀靖明)は
    友人の志賀(志賀聖子)から怪しい霊媒師(伊達香苗)を紹介される。
    靖明の両親を死に追いやったのは誰なのか?
    霊媒師は少しずつ真相に近づいて行く…。

    二つの時空が交互に語られる構成が上手い。
    何といっても伊達香苗さんの迫力ボディがにっかつロマンポルノのよう!
    (にっかつ観たことないけど、めっちゃ誉めてるつもり)
    中盤からはそのアンニュイな台詞と手の動きがぴったり合って
    終盤の滑り台に至ってはもはや演技を超えた表現と言って良いほど素晴らしい。

    殺し屋を演じる川島さんのフツーな感じが効果的で、
    “フツーでない職業が日常になっている男”が浮き彫りになる。
    3人分の新しい戸籍を渡して「目玉頂戴ね」とほほ笑むちっちゃいボス(後藤飛鳥)と、
    淡々とそれに応える殺し屋のやり取りがそれぞれプロっぽくてよかった。
    殺し屋が“痛みを感じない体質”という不幸な設定が、ここではほっとさせる。
    闇医者の澤が平凡なOL佐藤と裏社会の間でバランスの良いキャラを発揮。
    澤さんの口跡の良さと常識的な発言でリアルな存在感を見せる。

    櫻井さんの作品としては珍しく希望の光が差し込むラストだが
    そのための代償があまりに大きいところが、やはりこの作者らしい。

    記憶をたどる旅のプロセスで、靖明と志賀の恋もまた
    両親同様不器用ながら、発展していく兆しを見せたところが初々しくてよかった。
    つまり“痛みを感じない男の痛みを伴う純愛ストーリー”なんだな。
    改めて川島さん、堀さん、澤さんと櫻井作品との相性の良さを感じた。


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    2017/11/09 00:28

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