散歩する侵略者 公演情報 イキウメ「散歩する侵略者」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    NHKシアターコレクション2009の放映がイキウメを見た最初だから8年近くになる。劇団公演をやっと目にしたのが2011年「散歩する・・」(KAAT)だったが、終演後しばらくこのドラマについて考えた記憶がある。
    その後何本かイキウメを観て、「俳優」の仕事について考える所あり、今回も俳優の演じぶりを目を見開いて凝視した。俳優が架空のドラマを具現し、フィクション性を支え、内実(と見えるもの)を注入している訳だが、その裂け目を見ようとしていたのかも知れない。
    特に「愛」をめぐるラスト。前回の観劇で感じた、突けばほころびも見えそうなドラマの弱点と、そうしたくない心情により成立するドラマ性の両面が、今回どんな風に見えてくるのか・・気になっていた。だが場面が近づくにつれ、作りを見極めようという欲求よりは、ドラマに浸りたい欲求が勝り、思わず涙した訳だが、やはり初演と同じく、考えさせる要素である。
    ユニークな設定で「概念」そのものを扱い、それぞれの概念について想像を逞しくし考える契機が各所にある。

    ネタバレBOX

    堂々たるSF大作風になり、成功した部分と、架空設定のドラマの限界ギリギリを狙っていて表皮が薄く感じられる(そこが破けると台無しになる)部分もなくはなかった。
    宇宙人の「悪魔的」描写がその一つ。
    また、「戦争してる場合じゃない、地球侵略が目の前に迫っている」・・という思考の転換から、侵略を規定事実として吐かれる台詞、例えば「マスコミ対策は任せといて」など、危機を前にして楽観的な所がちょっとB級映画の大団円で残念。宇宙人に関しては、限りなく黒に近い灰色ではあるが、やはり灰色なのであって、可能性に過ぎない段階にふさわしい言葉がほしかった。
    森下創演じる「所有」概念をなくした男を生み出した事はこの戯曲の出色だが、後輩が渋々ながらついていく、と言う時、何かがほしい。おそらくそれは彼が何かを犠牲にせねばならない覚悟を要するのであり、先輩だからついていくしかない、のだとは言え、恐らくは、本心「お前がそんなじゃ俺が居るしかねえんじゃんか、畜生」と悪態をつく位の不平顔を隠せないのではないか。要は、先輩についていく、が結論ありきに見え、勿体無かった。

    伊勢佳世が抜けた後、岩本幸子の名もイキウメから消えた事を確認。私としては残念である。前川戯曲の架空世界を支えるキャラのそれぞれが一翼を担っていたが、岩本の与える安心感は、危険領域に向かう前の勇気の補給基地のようであった。

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    2017/11/06 02:09

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