aster 公演情報 創作集団Alea「aster」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    映画「桐島、部活やめるってよ」を連想するような公演。
    本公演は、少しずつ家族の微妙な関係に波紋が広がっていくさまを描いているよう。その生活に潜む歪さ、不穏な空気感を炙り出そうとしているが…。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、和室(縁側)、中央に丸卓袱台、奥に変形の衝立、下手側にレンガ壁と花壇。舞台上部は暗幕と放射状の白地で、何となく鯨幕を思わせる。全体的に歪み、不安定な感じである。先の放射状は当日パンフの中面イメージで、テーマ”絆”を表しているのだろうか。

    まず登場人物は、家に居るのは本当の家族か、擬似家族・居候なのか、その関係性が不明確である。その奇妙さは、終盤に明らかになってくるが、それは登場しないダイスケの自殺に起因する。その原因も説明されるが、それまでの伏線も感じられず、設定の説明不足のようだ。また登場しない不在の人物造形不足が、話の面白さを引き出せていないのが残念だ。出来れば、登場人物一人ひとりとダイスケとの関わりを描き、周囲の人によって人物像を立ち上げる必要があったのではないか。
    例えば、映画では桐島は最後まで登場しないが、観ている途中からどんな人物か気になってしょうがないという気持にさせる。本公演でも不在の人物をもっと気にさせるように持っていければ、違った印象の物語になったと思う。

    気になったのは、千葉修・結衣夫妻の中年の息子・太郎の不自然さ、ダイスケ(この家に居たと思われる)とその弟(別に住んでいる)の関係の希薄なこと、4カ月前からの行方不明(失踪か?)に対する警察への相談事、自殺後の遺体処理、そしてダイスケと結衣の関係、その結果結衣の精神異常をきたしたという自責の念の描きが弱いこと。

    物語(脚本)の説明は弱いように思うが、逆に演出効果は良かった。特に波紋・揺れるような流線形の照明、水が滴り落ちるような心細さ、不安にさせる音(ピアノの単音)の響き。照明・音響が全体の雰囲気をザワザワ落ち着かせず、不穏な空気感を助長しており実に巧みだ。
    タイトル「Aster」は何気なく舞台の隅に…ラストのスポットライトが余韻を与える。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/10/16 17:46

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