満足度★★★★★
朗読劇…寺山修司と山田太一が過ごした学生時代から寺山が亡くなるまでの交わされた書簡と友情。その物語は心魂揺さぶられるほど感動した。正直、2人の関係は羨ましくも嫉妬してしまう、そんな思いを抱いてしまう。
寺山修司の死ぬことから逃れるために仕事する、仕事をすることで本音を隠すような。しかし、山田太一の前では素直になる、そんな姿(関係)が瑞々しくそして濃密に描かれる。今の時代、インターネットの普及でメール等で”待つ”ことは、2人の時代とは随分と違う感覚であろう。その意味で、これだけの書簡のやり取りは、2人の特別な(友情)関係をうかがい知ることができる。
個人的な書簡は、時とともに埋もれ逸失しまうモノ。2人の芸術家の魂の軌跡、消え入るような手紙(モノ)が時を超え、鮮烈な光をもってよみがえる奇跡。その構成・演出を手がけた広田淳一氏の手腕は見事であった。
今まで聞いた朗読劇(登場するのは2人だけではない)の中では最高に素晴らしかった!
(土屋シオン&長田成哉)
(朗読時間1時間45分)