写楽コンプレックス 公演情報 劇団銀石「写楽コンプレックス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    反口語演劇は80年代の夢を見るか?
    躁状態での台詞回しに始まり、キャラクタ芝居の徹し方など、
    まるで中屋敷学校の模範的生徒のような作品だ。
    役者も元気元気を前面に押し出し面食らうくらい。
    後ろの席で見ても伝わるのだから、大したものである。
    だから、面白い!……とはいかないのである。

    前回公演、古典を題材に現代人を切り取ったのは痛快であった。
    そして何よりも、暗さが魅力であったと僕は思っている。
    今回はその暗さが躁状態の舞台に掻き消されてしまった。
    (衣装が明るかったのも要因としては小さくなさそうだ)

    佐野木雄太はどこに向かっているのだろう。
    もう少し注目してみたい。

    ネタバレBOX


    「桜美林に柿喰う客フォロワーの団体が増えるのは嫌なんだよ」
    そんな話をとある人から言われたことがある。
    「一時期の早稲田にポツドールフォロワーが蔓延ったようにね」
    そうですかふむむ、と僕は受け流したわけだけれど。
    ポツほどの影響があるかはともかく、柿フォロワーはいる。
    例えば、この銀石もそれに当たるだろう、と私は思っている。
    今回、それを確かめる思いもあったのは事実だ。
    そして、それがどんぴしゃりで当たり過ぎた感がある。

    写楽が3度、姥捨山に行くエピソードが中途半端である。
    物語を深刻にしたいがために、後から捨てることにした感さえある。
    逆に言えば、写楽コンプレックスの発生に主眼を置きすぎている。
    キャラクタが多いなりに、もう少し交通整理が必要だと思う。
    写楽コンプレックスという事件が面白いだけに残念。

    駄洒落の多用は野田秀樹を思わせる。なんてね。
    まあまあ、言ってしまえば80年代回帰で片付けることはできる。
    彼らにも言い分はあろうが、僕も歴史くらいは踏まえて言い分がある。
    柿喰う客にしてみても同じことが言えてしまったりするのだろうが、
    それよりもずっと、言葉遊びの感覚は先祖がえりしている。

    反口語演劇の地盤は、想像以上に軟らかそうだ。
    佐野木とか中屋敷とかが地盤を固めていくのかな。どうだろう

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    2009/02/02 20:48

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