寺島浴場の怪人 公演情報 シアターキューブリック「寺島浴場の怪人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    銭湯で観る公演は初めてであったが、その内容は十分楽しめる珠玉作。タイトルにある寺島浴場は東向島駅近くにあるが、そこに現れる怪人たちの物語は抒情的。東向島は、かつて賑わった玉ノ井遊郭など、現在の東向島を舞台にした永井荷風の小説「墨東奇譚」の街。この街興しの一環も兼ねている公演らしい。観劇した日は良い天気であり、浅草から会場(浴場)まで歩いてみた。その途中に小梅小学校というのがあったが、チラシの見返り女性の役名は小梅と言う。まさしく地元愛が感じられる。
    なお、この作品は2010年上演「曳舟湯の怪人」のリメイク公演とのこと。

    チラシには「ノスタルジック・ファンタジー音楽劇」と謳っているが、その内容は秘匿性が命。
    公演は10月11日まで続くため、ネタバレには配慮してほしいと…2017.10.9追記。

    こちらのスタッフはとても親切で、上演前後も含めて対応は湯に浸かったような気持ち良さ。
    (上演時間50分)

    ネタバレBOX

    庶民の憩いの場である銭湯で演劇を行う、そのアイデアは街興しや小演劇界の活性化のためにも意義があると思う。

    舞台は(女)浴場であるが、脱衣所も使用し演劇空間を広げて観せる。客席は浴場と脱衣所にパイプ椅子等を置いた2箇所。それぞれ一長一短があり、浴場は湯ぶねに湯が張ってあることから蒸暑い。脱衣所は、寺島浴場が水戸街道という大通りに面していることから、大型車両が通過する際、台詞が聞取り難くなる。

    セットは特に作り込まない。時間の経過を表すため、昔懐かしい置時計を持込み、女・男湯の仕切り壁の上部に置く。この時の経過が上演時間を思わせるようだ。キャストの衣装-女優陣は湯あみ着、男優陣は褌または短パンといったもの。
    湯ぶねの縁に腰かけ、時にカランの洗い場を回り跨ぐなど立体的な動作で観せる。

    梗概は、再演することがあることを考慮し、チラシを引用…「気がつくと、そこは下町の銭湯。小梅は何が起きたの分からない。柱時計がボーンボーンと時を告げる。小学生時代の仲間たちがリコーダーを吹いてやってくる。クラスメイトのミサキは病気がちで、遊ぶのもいつも一人。ある日小梅は、女子リーダーの目を盗んで、ミサキに話しかける。わだかまりが溶けてゆく2人。「オペラ座の怪人」風に言えば、醜い顔ならぬ”わだかまりの心”から開放されるといったことだろうか。だが事件は唐突にやってきた。あの頃毎日繰り広げられた楽しい時間。しかし、それは二度と戻ってこない時間.…。あの頃は2017年、それから19年の時が経った将来。小学校時代の回想…商店街、駄菓子屋、路地裏など昔懐かしい風景が脳裏に浮かぶ。この場所はどこ…。私は、友達はどうなっているの?という謎がこの公演の肝。

    この長居できない場所にいるのは…。
    少しネタバレするかもしれないが、自分は1945年春の東京大空襲を想像してしまう。そんな世界観の広がりを思わせるもの。実にこの”ノスタルジック・ファンタジー音楽劇”は観応えがあった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/10/01 09:42

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