缶詰工場の秘密 公演情報 T1project「缶詰工場の秘密」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     T1プロジェクトは若手育成プログラムでもあるので、今回も初舞台という新人が何人もいる。それに初日の緊張感もあってのことだろう。オープニング早々は、若干こなれない表現も目に付いた若手だったが、そこは作・演出が極めて質の高い演出でかなりの程度フォローしている。作家の人間に対する深く強い信頼渇望が現れた作品である。(追記後送)

    ネタバレBOX

    オープニングのシーンは、主人公・悠人の登場シーンで下手奥に設えられた階段を下りてくるのだが、階段の客席側は途中まで壁になっているので、彼の姿は最初見えない。最初に見えるのは、彼の背後からのライトによって階段踊り場や階段正面の壁に映る彼の影である。この演出に先ず観客は度胆を抜かれる。舞台は、既に廃工場となった缶詰工場。じき20歳になろうとする悠人が、自分を捨てた父の働いていた缶詰工場を訪れるシーンが冒頭のそれである。正面奥が旧工場、上手も建物の一部を為し中庭のようになったスペースの上手奥と対角線上に当たる下手手前には、背凭れつきだが、時に洗われてすっかり古びた椅子がそれぞれ背凭れがキチンと対向する具合に斜めに置かれている。下手の椅子の手前には矢張り古く細長いテーブルが側壁に沿って置かれ、上手の電線などを巻く大きな糸巻型をしたテーブル代わりのオブジェとその横に椅子代わりに置かれたキュービックなオブジェとが対を為している。その他下手・上手共に客席側には植栽が配され、舞台と客席の間にも草の植えられたプランターが置かれている他、所々につたの類が這っている。全体としては、廃工場の雰囲気が充満して古色蒼然たる気配である。登場人物たちは2つの時間に属している。1つの時間は、2017年、もう一つの時間は20年前の1997年だ。1997年はこの缶詰工場が稼働していた時代であり、20年後の2017年に、工場は廃墟である。

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    2017/09/28 04:09

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