満足度★★★★
終演(千穐楽)後、作・演出のAzuki女史から、この作品には粗筋がないと…。そして当日パンフにも「フライヤー、題名、「ありがとう ごめんなさい」の二言のみに作品の思いを込めました」とある。自分の感覚からすると「ごめんなさい ありがとう」と言った印象である。言葉とは不思議なもので、その並びによってイメージが違うように、物語の展開も同じではないだろうか。
「損得勘定」という言葉を聞くが、「損」は「得」よりも気持が後に引く。「得」はいつの間にかそれが当たり前になっている。公演も「笑い泣き」といったように、先に笑わせ弛緩させておき、泣きでギュと心を締め付ける感情で印象強くなる。主人公の生き様を考えると、「ごめんなさい ありがとう」という順がシックリとくる。そんな心魂が揺さぶられる物語であるが、自分は2020年の現実的なことを想起した。
野草に目を留める静かな行為に、様々な命が形作られる。この世のかけがえのなさ、又は無常を思わせるような珠玉作。
(上演時間1時30分) 2017.9.23追記