ノー・サイド NO SIDE 公演情報 トツゲキ倶楽部「ノー・サイド NO SIDE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    公演は3話オムニバス形式で、ラストには緩く繋がってくるという手馴れた手法。チラシにある東京タワーでの出来事(話)が起点(契機)になっているが、それは1話目の台詞を聞き流すと意味が分からなくなる。饅頭のように真ん中(餡=2話目)が結構重みがある内容だったと思う。
    基本的な舞台セットは同じで、出入り口の対角線上にBOX椅子が数個並び、壁に幾つかの竹簾のようなもの。オムニバスで異なるセット(小物)は、掛けられている掛色紙、顔写真、レイという違いだけである。
    (上演時間1時間50分) 2017.9.23追記

    ネタバレBOX

    第1話は大学の研究室。タイムマシンを開発した教授とその教え子の会話から、教え子が過去に行きたいと。しかし時空間移動は映画「バック・トゥー・ザ・フィーチャー」のように単純ではなく、物理学上の制約が数多くあることを興味深く説明していく。東京タワー展望台のアベック…高校時代の早熟なプロポーズ。「『自我を捨てる 雪だるまになる』と書かれた色紙」が掛けられている。

    第2話は入国管理室。入国審査で不適格になった男2人を女性入国管理官が調査・審査する。最近のアメリカは観光と称して不法滞在者が増加している。移住する人々が増加したことによる入国審査が厳しくなる。どうしても入国したい男たち。自己主張が出来ない男たちの右往左往する様が、優柔不断と思われがちな日本人らしい姿を表しているよう。「トランプ大統領の写真」が掛けられている。最近は優柔不断ではすまされない”有事不断(普段)”の状況のような…。

    第3話は、ハワイの結婚式場。挙式にサプライズを計画している新郎。一方、新婦には妄想癖があるのか、マリッジブルーなのか、心配事が尽きない。新郎はマイペースで、その言動の端々に新婦の心は翻弄される。新婦には幼い時に行方不明(失踪?)した父が…。「レイ」の一部が飾られている。

    3つの話が緩く繋がって、それぞれの話の中でいろいろな問題が起きていたがどうにか乗り越え、また解決してきたように描く。タイトにあるラグビー用語の「ノーサイド」に結びつけるが、一方、曖昧な態度は「ノーコメント」を思わせる。

    さて、トランプ大統領にみる移民政策(第2話 入国管理のシーン)など、世界が直面する様々な問題を照らし出した上で、人と人の繋がりや理解に未来への希望を見出す。自分と違う考えの世界の人に対しても寛容にならなければ.…コメディタッチながらしっかり主張するところは、トツゲキ倶楽部らしい公演であった。
    キャストの演技は飄々としているようだが、その浮遊感と内容の重厚さが絶妙なバランスを成しており、観応え十分であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/09/20 17:01

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