ライセンス 公演情報 タッタタ探検組合「ライセンス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     GPSとAIの発達、更に自動運転制御システムによって、誰しもが目的地さえ告げれば安全に車で移動できるようになった近未来、手動運転車は僅か5%と激減していた。而も、交通事故が起こる場合は必ず人の運転によるものになっていた。だが、こんな時代にあって尚車は人が運転すべきだ、という人々が残っていたのである。(追記2017.9.18)

    ネタバレBOX

     そんな人々が運転免許を取得する為の教習所も、近隣に一つだけ残っていた。その教習所で3週間の免許取得合宿が行われていたが、その顛末。

     さて、ここで一言しておくなら、何やら軍隊式に始まり、而も軍服のような教官たちのイデタチは、フェイクであるということだ。その証拠に所作が不合理である。右、左に分けて{休め}をしたり、僅かな人数しかおらず、スペースも充分あるにもかかわらず「小さく前へならへ」をしたり、そもそも一番偉い教官が坊主頭ではなかったり等々(タッタタを観続けている観客は驚いたハズである、今まで彼は殆ど坊主頭のヘアスタイルを通してきたのだから)。通常の軍隊では考えられない「不合理・逸脱」が何気に仕込まれていると見るべきだろう。因みに軍の規律といえば恰好よく聞こえるかも知れないが、軍律の唯一の要請は、総ての兵に同一方向を向かせることである。その為には、無駄や余計なもの・ことと見えることを排除する必要がある。機転の利かぬ無能な参謀たちはこのように思い込み、このオーダーに従って総てを采配するのである。結果、特定のパターンに嵌れば強いがそうでなければ負けるという愚を繰り返すのだ。
     ところで、今作の服装や髪形など、あからさまに見える部分が、実は周到に仕込まれた見せかけだったとしたら? 臨機応変という戦略・戦術は、そのアクションに在るだろう。かかるが故に、外国籍の者も、暴走族メンバーも、免許を返納しても良いような世代も、日本には珍しい宗教の信者にも一律入学許可がおりているのである。
     極め付けは無論、無人暴走トラックの走行阻止である。この行為が当に民間の(服装だけは歌舞く為にもミリタリー調)ヒーローによって為される。この行為に示された人間性を含めて、今作が、この自由闊達と他人を思いやる想像力にあることを示している点で、今作は単なる喜劇であるより、ヒューマンドラマとして成立している。言い方を変えれば右傾化する社会へのアッカンベーになっているのだということも見落としてはなるまい。無論、完璧であるハズの自動運転車とも解せる無人トラックが暴走し、それを阻止したのが人力である点にも注意を促したい。而も、この功績にも拘わらず、時代の趨勢は自動運転車が導入されて以降、最初に述べたシステムとの共用により事故が激減したことをうけて人が運転免許を取るチャンスは無くなってゆく。このほろ苦さも大人の味なのである。

    1

    2017/09/17 11:42

    0

    0

  • 追記しておきました。
          ハンダラ

    2017/09/18 11:24

このページのQRコードです。

拡大