『巨獣の定理』 公演情報 かはづ書屋「『巨獣の定理』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/09/06 (水)

    浜尾四郎、という作家の存在を知っただけでも甲斐あったというもの。「新青年」編集長・横溝正史の誘いで探偵小説を執筆し、江戸川乱歩らとも同時期に活躍するが、40歳で夭逝したという。その代表作の一つ『殺人鬼』が今回の舞台のベース。前時代の資産家の女中部屋で、同時進行で発生する殺人事件の推理劇が展開する。即ち、確信犯的?娯楽路線で、始めは「乱歩」の世界かと思わす「時代」の空気感が蟲惑的で、好みである。

    ネタバレBOX

    芝居が佳境を越え、とりあえずの一件落着の後、長めの暗転があり、明けると3ヶ月後のある朝。表面的な平和と、真犯人を逃す懸念が語られる切迫感が同居する中、満州事変の勃発を知らせる新聞記事が話題に上るという、大詰めの雰囲気も探偵モノ娯楽作品の常道という感じで良い。
    が、事件の真相を足早に語る中に、小さくない矛盾(説明しきれなさから来る不自然さ)が一瞬混入し、オヤ?となった。舞台には登場しないもう一人の「探偵」が犯罪に一枚噛んだらしい事、彼は真犯人(らしい人物)のアリバイを証言して、容疑から解いてやった、にもかかわらず、結局自分が逮捕されてしまってなお、証言を覆さない背景には、真犯人との通常でない関係が想定されるが、芝居ではその言及がなく、あったとしてもその伏線が本編に組み込まれていなければ、浮いてしまう。このあたりは、娯楽作品であっても解消して決定版として欲しいと思った。

    浜尾四郎の原作もいつか読んでみたい。

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    2017/09/17 03:14

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