「売春捜査官〜ギャランドゥ」「熱海殺人事件」 公演情報 株式会社STAGE COMPANY「「売春捜査官〜ギャランドゥ」「熱海殺人事件」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    初日「売春捜査官」を観劇、最前列椅子前に急遽ベンチシートを増設する盛況ぶり。
    いわずと知れた つかこうへい の熱海殺人事件の別バージョン。初演以降、基本的な展開構造は変わらず、今なお進化を続けている作品。
    つかこうへい の名前の由来と言われている、い”つかこうへい”にという思いが十分伝わる公演であった。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台セットはほとんどどの公演も同じで、真ん中に古ぼけた大きな机。その上に黒電話、捜査資料が置かれている。
    物語の底流にあるのは、色々な差別に対する鋭い批判。女性軽視、ホモというマイノリティ、在日朝鮮人という人種差別などである。同じ人間でありながら差別、被差別という用語が生まれる。敢えて痛みを穿り出して、差別を浮き彫りにする手法は脚本の力。それを体現するには役者の力量が試される。公演は冒頭の大音量音楽…チャイコフスキー「白鳥の湖」に負けず劣らずの大声量で始まる。終始テンションは高く、その伝えんとする思いは十分解る。
    また人間的な差別と同様、地域における格差も見え隠れする。長崎県の五島列島での貧しい生活。集団就職しなければならない境遇など地域社会に対しても問題の提起をする。人間の本質(深淵)、社会という環境・状況という世界観の深みと広がり、そのテーマの捉えは今なお色褪せることなく、逆に鮮度が増すようでもある。

    この公演は、今まで観た「売春捜査官」に比べると、一層差別化を際立たせたように思う。例えば万平を禿げ・ホモというセット台詞で罵倒する。身体的なこと、弱・少数者などを差別することによって、痛みが浮き彫りになる。それを先鋭化すればするほど人間愛を思わずにはいられない。

    桜田聖子さんの木村部長刑事は、序盤こそ声が擦れて、という訳ではないが力強さが感じられなかった。しかし、除々に男たちを圧倒する部長刑事の姿になる、その生き活きとした変貌ぶりも楽しめた。
    また犯人、大山金太郎が13階段を上るのではなく、登場は客席後方からスポットライトを浴びながら階段を下りてくる。つか作品は人物造形がはっきりしているが、更に登場の仕方、ダンスなどの演出で公演全体をデフォルメして印象付ける。そして常に高いテンションが求められる作品であるが、終始熱量・集中力が感じられる仕上がりで、観応え十分であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/09/07 19:48

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