Beautiful 公演情報 東宝「Beautiful」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    びっくりしたのは場内の男比率の高さ。普通、帝劇や日生でのミュージカルというと女性が圧倒的に多く、男は多くても3割程度だが、これは今日主演の水樹奈々人気によるものなのか、6割以上男なのでは。開演前の男性トイレの混みようといったら。

    公式サイトで見た動画だと、キャロル・キングっぽさでは平原綾香の方が明らかに上だったので、そちらを観ようと思ったが、日程が合わず水樹版に。とはいえ、声はキャロルではないものの、歌は達者だし、芝居の部分も悪くないし、ポップスファンにはたまらない選曲だし、十分楽しかった。ジェリー・ゴフィンとの結婚生活の破綻のプロセスが弱いので、第二幕でのキャロルの苦悩の部分があまり浮かんでこないのが難だけど。

    ネタバレBOX

    序曲が終わり、舞台は'71年にキャロルがカーネギー・ホールで「ソー・ファー・アウェイ」を歌うシーンから始まる。'96年にようやく発掘CD化された、有名なカーネギーでのライヴ。ここから回想となり、50年代末へ。アンサンブルによる「1650 Broadway Medley」は、「スプリッシュ・スプラッシュ」「ラヴ・ポーションNo.9」「ポイズン・アイビー」「ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー」「間抜けなキューピッド」「ヤケティ・ヤック」といった、ボビー・ダーリン、リーバー&ストーラー、セダカ=グリーンフィールドらによって書かれた、'58~'59年のブリル・ビルディング界隈の超有名曲で構成したメドレー。

    あの当時の音楽出版社がいっぱい入っていたブリル・ビルディングというビルがあって、この頃のポップスをブリル・ビルディング・サウンドのような呼び方をすることがあるけど、このビルの住所はブロードウェイ1619番地。ゴフィン=キングやマン=ワイルのチームが参加していたアルドン・ミュージックが入っていたのは、筋向いの1650番地の方のビル。だからブリルの1619ではなく「1650 Broadway Medley」となる。ニール・セダカはアルドンだったが、リーバー&ストーラーやポーマス=シューマン、バリー=グリニッチが入っていたのはブリル・ビルディング内の事務所だったので、この『ビューティフル』の第一幕から第二幕途中までは、マン=ワイルとの競い合いを中心に描かれる。

    ということで、半分以上をゴフィン=キングとマン=ワイルの曲が占めるのだから、ポップスファンにとっては(日本語詞の違和感はあるとはいえ)とても楽しい。水樹キャロルはやっぱりキャロル・キングという声ではないが、舞台姿は思ったより悪くなくて、歌の方も慣れてくると気にならなくなってきた。

    第二幕はジェリー・ゴフィンの浮気、結婚生活の破綻など、キャロルの停滞期から復活へとなるのだが、「プレザント・バレー・サンデイ」や「朝日のない街」のあとで、マン=ワイルがNYのクラブで'62年の「アップタウン」を聴いているというのは、ちょっと強引すぎる感も。終盤は『つづれおり』の楽曲が続き、またカーネギーのシーンに戻るのだが、ここでのタイトル曲はやっぱりキャロルっぽさがないのが痛い。おまけにこのカーネギーのライヴが行われた時点では、まだグラミーも何も獲っていないので、ライヴ開始前のすでにグラミーを何部門も獲ったようなアナウンスで、あれっ?となってしまった。

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    2017/08/12 00:03

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