期待度♪♪♪♪
島嶼部には3年間住んでいたので、島の良い所も悪い所もその共通部分は理解しているつもりである。携帯などない時代人口1万ほどの島(周囲約42㎞)で、噂は数時間で全島に広まった。驚くべきスピードである。
離島での暮らしは3か月、島に2つしかない港の岸壁脇(2mほどの所)を鯨の親子が並泳しているのも見た。子鯨を中に挟んで両親が子供を守りながら泳ぐ姿は微笑ましいものであった。小型の鯨が眼路を限りに泳いでいったことがあった。(眼路を限りだから沖合3㎞位まで幅は視界一杯だから少なくとも数百頭、或いはもっと遥かに多かろう)、ウミガメの姿も良く見掛たし、季節によっては磯から鮪が釣れるという話も聞いた。
そういえば、返還直後の小笠原では、ホオジロザメのような凶暴なサメがうようよしていたっけ。兎に角、港の中まで、ハンマーヘッドが入って来ていたのは何度もみた。体長1mほどのフルーツバット、小笠原オオコウモリも懐かしい。戦時の食糧難を凌ぐ為に輸入されたアフリカマイマイが大繁殖して、寄生虫の為、食用にもならず困っている話や、膝ほどの深さで五色海老も見た。余り深い所へ行くと、サメに襲われる危険があるので、早く帰島が許されたアメリカ系の島人たちも水深1m位の所までしか入らない。
まあ、海をナメタラ怖い話はいくらでもあるが、今作は、そんな怖さが出てくるとは思えない。怖さがあるとすれば、嘘の齎す効果による人間関係の破綻である。良い嘘がどのように展開するか興味深い。