満足度★★★★★
すばらしい!
いつもと全く違うダークな内容。救いなんかないけど、これが西成(70年代半ば)の現実だったんだと思うと、いかに自分が平和ボケしているか考えさせられる。
結果を出すことしか考えていない刑事、覚醒剤の蔓延、遊郭飛田の悲惨さ、日雇い労働者・・・泣く場面も多かったけれど、人の優しさが身にしみる作品でもありました。特に亡くなったちえこの「西成の空に広がるありがとう」という川柳は、覚醒剤から立ち直りかけた彼女からの、無邪気な感謝の気持ち。それがどれだけ多くの人を勇気づけ、脈々と受け継がれてきたのかが最後にわかる。それが唯一の救いでした。
しかしネコ脱出の熱い笑いは健在で、客演の船戸慎士は無駄に動き回って客席をわかせ、劇団員もコミカルなダンスや丁々発止のやりとりで笑わせてくれました。今回はすべての役者が、適材適所で素晴らしかったと思います。