ありふれた話 公演情報 劇団水中ランナー「ありふれた話」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    大学(映画サークルメンバー)卒業後の人生、と言っても30歳くらいまでの”ありふれた”生活を切り取った青春群像劇。
    すべての人が経験するかわからないが、身近で起きるほろ苦い出来事であり、心情的に解る。   【Bチ-ム】
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台は、左右で段差のある平台。客席側にはいくつかの丸椅子があるのみ。段差があることによって上下の動きが出て、変哲のない暮らしの中の細やかな変化や刺激を表現させ、それが心地よいテンポになっている。物語は、詩のような台詞を輪唱するような印象付けから始まる。

    大学時代・映画サークルの活動、その集団としての見せ場から、卒業しそれぞれの生活という個人の見せ場に変化していく。大学時代の映画作りは妥協しなかったが、社会人になって、仲間の生活をドキュメンタリー映画にするには、妥協、打算という底が見えてくる。個々人が抱える問題は様々であるが、それは身近で起こり得る出来事であり、特別なことではない。それだけに観客…その生活に寄り添うようで、一枚ずつのモノクロ写真のように思えた。それが集まって彩のある物語(集合写真)を紡いでいくようだ。情緒というには少し切ないが、案外それが現実なのかもしれないと思わせる。

    梗概…大学・サークルメンバーの今の生活を映画(ドキュメンタリー)にしたいと。今は30歳になり結婚している者、いまだバイトしつつ好きな役者活動を続ける者など、それぞれの人生を歩んでいる。その歩みに、親の介護、障碍のある妻、不妊治療、ボランティア活動、DV・ストーカーなどいろいろな背景を設定し”ありふれた”日常を描く。その障壁を乗り越えようと必死に生きる姿が一時期の自分に重なる。

    其々の場面は身近な問題であり、それを当事者の視点で追うような感じ。それをドキュメンタリー映画として編集する展開であるが、そこに監督の視点(一人称)としてのどうしても撮影したいという思いが伝わらない。群像劇としてまとめていく手腕は見事であるが、撮影を通して監督の意図したことが果たせたのか。この劇の一つの見せ場ではないだろうか。日常にある”ありふれた”一遍を丁寧に織り込んでおり好感が持てるが、今ひとつ”力強さ”と”余韻”が弱いように感じたのが残念。

    役者は本当に大学時代の友人のよう。その自然体の演技とバランスの良さが物語に集中させる。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/07/12 18:08

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