ますらをの伴 公演情報 ドナルカ・パッカーン「ますらをの伴」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    戦時中のラジオドラマを若い方々により‘舞台演劇’という手法で現在に蘇らせていただいた珠玉の作品です。

    ネタバレBOX

    冒頭「東京節(パイノパイノパイ)」で始まる下宿屋の一日、妙にハイテンションな下宿屋の女主人、そこには学徒出陣を控えた我が子同様の法文の学生への惜別の悲しさがあったのでした。出陣学生はカラ元気とも思える大きい声で「お国のために」と言いながら「帰るつもりはない」「(理系学生に対し)日本の未来をお願いする」といった死地に赴く無念の言葉が差し挟まれ、また最後まで授業に出る、美術史を学ぶ学生が古都の寺社仏閣をその目に刻みたい、という学生ならではの思いも伝わり、目頭が熱くなりました。
    学徒出陣壮行会が神宮外苑で行われた頃には戦況は著しく悪化しておりました。
    敗戦への懸念からますます軍部の目も光るこの時期です。
    本作品を拝見し、森本薫氏が戦争翼賛の大合唱の中にありながら、ドラマの中に戦争に対する彼自身の気持ちを潜ませ、軍部等から批判が出ないよう巧妙に国民に伝えようとしていたことに驚きを感じました。
    学徒出陣直後のご時世にこの作品を作り出した森本薫氏とこれを掘り起こし、今蘇らせていただいた川口典成さん、作品の意図を組みとってラジオドラマを舞台に再現していただいた役者の方々には心から感謝を申し上げたいと思います。また、下宿の女主人とそのお嬢さんを男性が演じたことにより、一層味わい深い舞台に仕上がったと思います。

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    2017/07/09 16:17

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