今が、オールタイムベスト 公演情報 玉田企画「今が、オールタイムベスト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アトリエヘリコプターでみる初めての玉田企画。モンダイ児を作者が演じる、前みた舞台(怪童がゆく?)に通じるモチーフの別バージョンという感じ。短時間を切り取ったストーリーだが、ガサガサ鳴る手作り感のある回転舞台で三場面が入れ替わり、笑える微細な齟齬の、その微細さを分母にとれば(ノミの目で見れば)、ダイナミズムのある舞台である、と言える。だが我々は人間なので、実際にはあっと言う間に過ぎ去る短時間の(結婚式前夜という事ではあるが)日常の延長におかれた、あるあるドラマだ。

    ネタバレBOX

    自分の再婚を認めてくれない息子の態度に業を煮やして宮崎吐夢が最後に吐く「この発達障害の○○が..!」の台詞、実際に発達障害という設定のようである。もしそうでないなら、暴言がつい口をついて出た、という事だがこの語は意味を強く持ちすぎ、ミスチョイス。よって、発達障害設定なのだろうと推測。
    面白いのは、普通なら靴を履き間違えられただけでブチ切れ、それを理由に結婚式に列席しない挙は大人げなく、まあ子供であるので、まだまだ子供だ、という事になるが、この話では父親がどうしても息子に結婚式に出てほしいらしく、そういう祝福された結婚である事を刻みたいのだろうが、そう念じているために、明日から母になる女性の過ちを「許さない」子は、「そんなに悪いことやってないと思っている」親にとっては受容しがたい存在になっており、しかしそこに発達障害という障害がひとつ入る事で、周囲の配慮のほうが問われる目線が生じる、そのことだ。
    発達障害を別のものに置き換えてもいい。歩み寄らねばならない関係にあって、それがこじれて解きづらい「困難ケース」として提示され、さてそこから先、希望はあるのか・・と暗澹とした所へ、どちらとも取れるが希望に傾くのも間違いではないと予感させる微かな揺らぎを、オチとした。(山田洋二『学校3』のラストにその微妙な揺らぎを感じたのを覚えている。)
    できれば作者の狙いを作者以上に秀逸に演じる演じ手に、委ねられたし。

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    2017/07/04 04:57

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