伝記 公演情報 サンプル「伝記」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    執念のぶつかり合い
    ある男の伝記を綴っていく過程での、その内容に関して執拗にこだわる者たちの引きつったような執念が全編を覆う。
    執念みなぎるどの登場人物も「怖い」という印象。

    観客はそれをすこし遠巻きにして観るという感じ。中には入りづらい。物語に入り込む糸口が見つからなかったとも言える。

    ネタバレBOX

    伝記と称する人の生きた歴史は、残った者の思い込み(思い出)によって成り立っている。それは人によって異なるし、また、過去となってしまってからは、その正確な全貌をつかむことは難しい。というより、無理だ。

    つまり、個人個人の思惑によって綴られるある個人の歴史(伝記)は、決して1つにまとまることはない。

    個人個人のこだわりと伝記に込めようとする想いはわかるのだが、それが自分の中では、どうもすっきりした形を持たなかった。
    観終わってからも、形をなさない。それでいいのだろうけど。

    終盤の壮絶な展開は、執念と怨念が入り交じったようで、観ていてこの世界にちょっとだけだが、やっと近づけた気がした。

    中盤で、妹がゼブラにつかみかかるとき、その包帯の隙間から見える「眼」が怖いほど狂気に満ちていたように見えた。

    劇場の座席を長辺のほうにとっているため(つまりアゴラの入口から入って右が舞台、左が客席という形)、舞台が横に長く、また、2階の部分も使うため、台詞をしゃべっていない役者の様子を一緒に観ることができないのがもどかしい。
    台詞をしゃべっていない役者も、その場面に合わせた表情や、まったく違った動きをしているのに、見られないのはもったいないような気がするからだ。

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    2009/01/21 02:18

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