ペーパーカンパニーゴーストカンパニー 公演情報 OIL AGE OSAKA「ペーパーカンパニーゴーストカンパニー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    出演陣の力量に疑いはなく、全員が良い仕事をしている作品なのは間違い無い。
    のだが…
    わたしには脚本が合わなかった。
    客席が笑いに沸く中、わたしはイライラ、ドン引きの連続。
    ただし。
    それは受け手であるわたしの問題であって、今この「観てきた」を読んでいるあなたに当てはまるかどうかはあなたが観てみないとわかりません。
    そしてわたしには脚本が合わないだけで、演出も演技も素晴らしいと思うのだ。心から。変な音楽も無く、ダンスも無い。ただただ純粋に、出演者の力量に魅了される2時間15分である。

    観劇の初心者はこれを観てしまうとこれを超える作品にはなかなか出会えないかもしれない。

    以下、イライラとドン引きについてネタバレboxに。

    ネタバレBOX

    幽霊として現れた春子と、たまたま幽霊が見えてしまう1000人に1人の霊感の持ち主だった楓。
    この2人のコミュニケーションにおけるズレが笑いを生んでいるはずなのだが。
    わたしにはとても笑えなかった。
    楓と春子の会話は、会話になっていない。お互いへの思いやりが無い、お互いの意思をくみとろうというニュアンスの無いやりとりなのだ。
    楓が必死になればなるほど客席は笑うが、わたしは自分が同じ目に遭遇したらと思いまったく笑えなかったのである。そもそも楓はもっと早く新聞社の面々に春子の幽霊がいると言いなさいよ。苦笑(そしてそれをしない理由は劇中で明示されない。むろん周囲はすぐには信じないだろうが、一定の理解を示そうとはしてくれるはずなのである、あの面々なら。)
    そして、楓の陵への説明も全くもって的外れ。
    その伝達能力の低さにいらいらしてしまった。
    新聞記者なんでしょう、文章力があり、もっと伝えるということを熟知しているえがきかたができるはずなのにそうしていない、それは作劇の都合をぷんぷん匂わされてしまう点なのではなかろうか。
    春子が生身の人間に憑依できると気付いてからの行動も不愉快。それをした相手が失神するとわかってからも「黙らせるため」にやってしまう。楓相手であれば失神しないと分かれば車谷次郎が「木こり」を歌う…この車谷次郎の行動がわたしがドン引きしたもの。ひとをおもちゃにしている…。えええ……。春子は楓に「(この現象は)わたしのせいです」と発言させている。本人はすぐに「もうやらない」と楓に謝罪したが、その軽さ。好きでは無い。

    とにかく客席で「伝わらないこと」の不満が募る。ただし後半ではそれを全て回収していくので、多くの場合この作品は良い作品だと見なされるのであろう。そしてわたしもこの作品について演劇の技術としては最高峰のものだと認める。だが、脚本に関して、この登場人物たちに対して、好きではなかったとは言いたい。
    所詮好き嫌い、合う合わないの話であるが、あとからこの絶賛に承服しかねる、疑問に思うような人がこれを読んですこしでも「こういう人もいたんだ」となればと思い記録しておく。

    なお2時間15分の今作、実にいろいろな要素が詰め込まれた脚本である。
    仕事への向き合い方、現実を受け入れるということ、後悔、愛情、そして上記したように「伝えるということ」。
    観た者は何がしかの気付きを得るであろう。
    そう言う観点では間違い無く良作であり、良い演劇作品である。
    これだけ不満があっても満足度は5に近い4とさせていただく。

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    2017/06/18 19:47

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