粛々と運針 公演情報 iaku「粛々と運針」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ■約95分■
    テーマが普遍的なうえ会話劇にあるまじき(?)斬新な趣向もあって面白く鑑賞したが、観終わってからもカナザワさんのことが気になって気になって…。個人的には、カナザワさんの人物像にもっと迫って欲しかった。

    ネタバレBOX

    長い反物を二人がかりで縫っている、この世のものではないかのごとき妖気をまとった老婆と娘。天界の住人のようなこの二人に見守られつつ、ある兄弟が母の延命治療の是非をめぐって言い争い、あるアラフォー夫婦ができたかもしれない子供を産む産まないで衝突し、果ては二組の会話が時空を超えて混じり合う“命”についての会話劇。
    老婆は兄弟の母であり、娘は産んでもらえるかわからない夫婦の子であるとのちにわかるが、その一方で老婆と娘は針を駆って時を編む“時の女神”“運命の女神”のような存在でもあり、この超常的な二人がいるお陰で、兄弟と夫婦、無関係な二組の会話が時空を超えて混じり合うのも“まぁありか”と思えてくる。この劇構造が面白い。
    なお、カナザワさんとは、兄弟の70歳になる瀕死の母が夫の死後に作った恋人。母に尊厳死を勧めたというこの老爺、兄(弟だったか?)の邪推通り、遺産の分け前にあずかるために母と籍を入れているのか、いないのか? そもそも、そんなことを考えるような悪人なのか、どうなのか? その辺のところをもう少しだけつまびらかにして欲しかったです。
    なんにせよ、人の命の問題にも、浮世の事情が否応なく絡んでくるのだなぁ、とつくづく。

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    2017/06/06 13:54

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