夜を忘れなさい 公演情報 feblaboプロデュース「夜を忘れなさい」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    夢にある「癒し」と「怖れ」を炙り出すような物語。
    人は記憶と忘却という優れた特徴があると思うが、その特徴を夢か現か幻か、それが判然としないような展開で描き出している。舞台はシンプルであるが、それだけにシチュエーションと役者の演技力に依るところが大きい。
    (上演時間55分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは中央に大きなベットとその枕元に水差しが置かれているだけ。それを三方向(客席)から観る。夜寝れない人(女)に添い寝する。そんなバイトをしている男、その男女の奇妙な会話劇。その室内が何となく妖しげな雰囲気を漂わせている。バイト男の大学の友人曰く、風俗だと貶す。

    女・サオリ(金子優子サン)が男・ナオ(藤家矢麻刀サン)がバイトしている部屋に訪ねて来るところから物語は始まる。会社でのミスを思い悩み眠れない、また別の女・ミカ(川島佳帆里サン)はパートナーからの暴力であろうか、体に痣がある。バイトは傾聴、添い寝だけだが、いつの間にか自分の内面に澱のように沈殿していく。そのナオの悩みを解消するために現れた彼女(安部智美サン)だが、ナオは悩みの解消の代償に何(記憶?)かを喪失する。

    中国の「邯鄲(かんたん)の枕」を引き合いに人生の喜怒哀楽、栄枯盛衰といった移ろいを諭すような台詞。また日本旅館に鍵がない時代に大切な物は枕の下に隠していたと。それが衆人に知れると盗みも”簡単”になる、というオチも...。

    サチコ、ミカという2人の女性の話を入れ子状に自己言及し、さらに彼女という仮想者を同時に進行させるような物語は混迷の度合いが深まるかのよう。
    この公演、いくつかの対比するような描写が印象的。まず、女性2人の衣装、サチコは白いブラウスに黒のパンツという典型的なOLスタイル。一方ミカは寝間着。その違いが男との距離を表しているのだろうか。そして大学の友人の方言(九州地方か)は、夢と現実の区別であろうか。さらに住む場所、大型スーパーなど一見不自由ない街と昔ながらの商店を引き合いに出し、画一化された生活の味気なさ、素っ気無さを嘆く。何となく比喩を思わせるようなシーンの数々が印象的であった。
    全体的に不安や困惑を重層的に描いた不思議ワールドと言った印象を持った。

    次回の公演も楽しみにしております。

    0

    2017/06/06 13:01

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大