二十日鼠と人間 公演情報 GROUP THEATRE「二十日鼠と人間」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    スタインベックには、戯曲としても評判になった名作があった。

    レニーという愛すべき大男は、時としてたいへんな狂暴さが出る。最後には、射殺されるがたいへん涙をそそられる。

    余生短い老人の悲哀、差別的待遇の中で虐げられてきた黒人、弱者に対するスタインベックらしい優しさがあった。

    これは、とても良い演劇。ずっと心に残るだろう。

    ネタバレBOX

    スタインベックの世界は,素晴らしい。本戯曲には,魅力的な役者が数多く出ている。スタインベックの世界は,『怒りの葡萄』にしても,『エデンの東』にしても,作品の特異性は,群を抜いていると思う。なぜ,かくも印象に残る物語ができたのかと,ずっと考えていた。本日,戯曲『ハツカネズミと人間』を観て,その世界が少し身近になった。背景とか,人物特徴がわかった。

    『ハツカネズミと人間』の主役は,まちがいなく,レニー・スモールだ。彼は,図体ばかりでかいが,知的障害があるという設定だ。もっとも悪いのは,女性のきれいなドレスが気になると,触れたくなって,最後には,女性を羽交い締めにしてしまう。また,ネズミやら,生まれたばかりの子犬をなぜ回して,少し噛まれただけで,殴り殺してしまう。

    そんな凶暴なレニーであるが,兄貴分のジョージには絶対服従なのだ。最初の頃は,ジョージもバカな相棒をなぶっていたが,きわめて純真なものも残す友に自分の将来を語るようになる。そこで,おまえは,羊の世話をすれば良い。実際にバカなレニーが,なんの役に立つかはわからない。足手まといになり,致命的な失敗をして,なにもかもぶち壊すことになるリスクだってあるのだ。

    カーリーの妻は,性悪女だ。どこにでもいる。そんな彼女の挑発にのったために,ジョージとレニーの友情は破たんする。ぼくたちの未来は,山の向こうに見えるじゃないか。どこに見えるの?と,夢の国を想像しているレニーの後ろに回って,ジョージは泣きながら,最愛の幼馴染みを隠し持った拳銃で撃ち殺す。役立たずの老犬と同じで,人間も邪魔になれば,消されるのだ。

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    2017/06/04 20:30

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