『あぁ、自殺生活。』4月~6月/365 公演情報 劇団夢現舎「『あぁ、自殺生活。』4月~6月/365」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    無人受付(改札)を通り抜け、自分で硬券(「青春18キップ」ならぬ「黄昏18キップ」)に改札鋏を入れる。場内は暗幕で囲い薄暗がり。物語はタイトルのように矛盾…自殺と生活という死と生の狭間を揺れる様な公演。
    この芝居、観ているのが現実なのか心内の彷徨なのか、その判別は難しい。敢えてその線引きを明確にせず、観客の感性に委ねたと受け留めるべきか。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    置き物としては中央に椅子のみ。いたる所にキッチンラップが張り吊るされている。また2人の男もラップを体に巻き付けている。ときどき現れる1人の女性。登場人物は3人のみだが、その関係に緊密さは感じられない。

    表層的には、こうえんまえ という駅ホームに佇み飛び込み自殺しようとしている男。別の男が何となく自殺しようとしている行為を妨げる。その後、暗転し場面は こども公園へ移動しているようだ。その公園に現れる人々を1人の女性が演じ分ける(衣装を変えるなどの見せる工夫)。
    男2人の会話…自殺しようとしていた男に対し、”自殺許可書”を持っているかと奇妙な質問をする。その”天邪鬼(あまのじゃく)”のような質問、求められる頓智(とんち)のような回答、その繰り返しの言葉が漂流しており、いつの間にか立ち位置が分からなくなる。実際に見える光景、その現実性をシュールに描いたもの。

    一方、実際いるのは男1人。もう一人は自分自身。その分身(ドッペルゲンガー)がお互いを照らす。心内の彷徨を通して自問自答を繰り返し生活か自殺か、その生死の挟間を漂っている感じだ。台詞の端々に社会、特に会社での理不尽な扱いを嘆く。分別ゴミになぞらえて会社でのダメ人間をイメージさせる。通勤で利用する駅ホームは「死」に近い。その反対の「生」は公園という憩いの場所で見せる。未来に対する希望と怖れを炙り出すようだ。

    作・演出としてどう観せるか、その確固たるコンセプトがあるのかどうか。観客の感性に任せるという自由裁量なのか。1年間を通じての公演であり実験的な試み(都度、演出等を変化)であるとすれば、その変化に注目したいところ。

    演出…女性の存在は、物語に漂う曖昧模糊とした景色・状況に現実感(第三者、傍観者)をもたらすようで重要な役割を担っているようだ。さらにラップを引き裂くような行為は、心の呪縛を解き放つ、自由への解放をイメージさせる。この2点は秀逸で印象的であった。

    台詞が説明口調、それゆえ雰囲気、世界観が理屈っぽくなり硬くなったのが残念だ。また演技面ではラップを取り去る作業に気を取られたのか、物語の流れがぎこちないのが勿体なかった。個々の役者の演技は軽妙でテンポもよかったが、全体の雰囲気が硬くなりすぎたと思う。

    1年間を通じて、どう変化していくのか楽しみな公演である。

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    2017/05/31 20:24

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