満足度★★★★
5/25マチネ観劇初見の小松台東。
再演と言う事だがあまり情報入れず観た。
終演後、劇場を出る足元の色の様な柔らかい、暖かい想いが溢れる芝居だった。
宮崎弁での会話劇。イメージしていたのはもっと、重い感じのホンなのかと、勝手に想像。
とても、作りこまれてるのだけど、かと言って仰々しく堅苦しく観客を構えさせないという。
母親の通夜、葬式の為に長く家を出ていた娘が「彼氏」を連れて帰ってきたところから、始まる。けして、派手な出来事が起こる訳では無いが、人間の「あ、こんな感じの体験あるわ」とか「葬式って確かに・・」とか。
人はやはり、言葉には出さないけど大事な人はいつも、心配しちゃうものだし、家族だからと言っても言葉を使って思う事を伝えないと伝わらないし。兄は妹を思い、妹も言いたい事が沢山あった。そして、まわりの人たちも色々あった。
演じている俳優の皆さんが初見の方がほとんどだったが、舞台上の会話が台詞というよりも観客が部屋を覗いてみてしまった様な妙な「あるある」感を感じた。あんなオジサン居そうだし、田舎の中2は愛らしいし・・・。
今回の観劇理由が以前20歳の国で拝見した尾倉 ケントさんが出演されるということで
観る事にしたのだが、ほんとに、良い舞台を観る事が出来て良かった。
何気ない描写や、台詞、そして音として発しない台詞と台詞の間の感情の表現。
そこに「私も、そうかもしれない」とか「私なら、どうするかな」とか
想いを重ねながら、観た。
故人がやっていたお茶を入れる際に最後に美味しくなるようにと手をかざす仕草。
お嫁さんも、娘も、ついおなじことを自然としてしまう。
家族って、そんな事が積み重なってるものの象徴的な仕草だった気がした。
孫である中学生の清人から好かれていた故人。
「年寄りと一緒にいると楽」という台詞があった。
親は近すぎて、子を心配したり、責任を感じてとやかく言ってしまいがちだが
祖母はそういった事が無くただ、「愛情」だけ注いでくれる存在なのかと。
開演前からそこは「故人」を偲ぶ空間となっていた。お焼香や、喪服の受付の方。開演前のアナウンスも。芝居以外の細やかな空気感の作り方などが、隙が無い。
最後、舞台からロビーに出る際の演出、好き。心がほわっとした時間でした。