「新宿コネクティブ アナザー1975」 公演情報 演劇企画ハッピー圏外「「新宿コネクティブ アナザー1975」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    タイトルから明らかなように、1975年の新宿の街を舞台にした物語。当時の情景や状況を背景に、ダークな生業をしている男が、ある女性から依頼された事を解決しようとして、大きな事件に発展していくさまを軽快なテンポで観せる。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    舞台セットはシンプル。表現しにくい不思議な形をした衝立(非対称)が2つ。いくつかの市松模様の電話台(携帯電話が普及する前のため固定電話)がある。

    冒頭、中国人が経営する中華店、闇カジノ、新宿警察署など人種の坩堝、清濁混在した組織を登場させる。何でもありの新宿という”集”としての街、その世界観を出現させる。さらに新宿二丁目のマイノリティー、新宿ゴールデン街で働く女性達を登場させ、人間の生き様という”個”の部分も描き出す。
    さらに三菱重工ビル爆破事件、その過激派運動も見せて、時代・社会が浮き上がる演出は巧み。また、今はない量販店名、固定電話、都庁が建築中という言葉にも懐かしさを覚える。

    梗概...闇カジノで受けた依頼事は友人の記憶を取り戻してほしいというもの。東北の富豪の一人娘・使用人の娘、その二人の苛め・蔑みVS嫉妬・羨望という差別を描きつつ、いつの間にかその立場が入れ替わるようだ。キャストはどちらの娘を演じているのか混乱させるほど人物造形が自由に動く。ラスト、自殺しようとする娘を登場人物すべての人が手を広げて受け止めようと...。新宿の街はそれほど懐が広いという、雑然とした街のイメージを逆手に取ったラストシーンは印象的であった。

    目まぐるしく衣装を着替え、小物(ヘルメット、量販店の法被等)を持ち変え雑然さを表す。「嫌われ者の絆が謎を解く」というチラシのキャッチコピーが物語を象徴している。この劇団の特長であり好きなところは、前半のポップで少し緩い進みから、後半は謎解きに向けてたたみかけるような展開に思わず前のめりになるところ。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/04/27 11:30

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