大神家の一億 公演情報 劇団ハッピータイム「大神家の一億」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    タイトルは「犬神家の一族」を捩っているが、内容・ジャンルは全く違うもの、と当日パンフで作・演出の忍守シン氏が記している。もっとも説明のミステリーサスペンスを新感覚クライム・コメディとして描いているが、別の映画のヒューマン・ロードというジャンルの有名なワンシーン取り入れる、そんなパロディも楽しめる。

    物語の筋は面白いが、全体的な観せ方(演出・演技)が緩く、遊び心が過ぎたようで少し勿体無い。
    会場はブックカフェ二十世紀で、その店内には映画関係の本・雑誌が並んでおり、映画ファンには嬉しい場所であった。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、カフェ店内ということもあり、その内装を考えるとどこまで作り込んでいるか判然としない。劇中で使用するのは固定電話、プラスチック製の網籠が積み重なっていることぐらい。

    梗概…チラシ説明から、普通の家庭・大神家に「娘は預かった。返して欲しければ1億円用意しろ」と電話がかかる。しかし、大神家には娘が誘拐された自覚が無い。その代わり母親の姿が見当たらない。話が迷走し、更に話をややこしくする人物たちが現れ、事態は混迷の一途を辿る、というもの。
    犯人からの身代金要求は、父親が当てた宝くじ(1億円)が目的。その換金が出来たか確認する手段が、ベランダに”黄色いハンカチ”を掲げること。日本アカデミー賞第1回受賞作品「幸福の黄色いハンカチ」のワンシーン。上演前からこの映画の感動直前シーンの台詞「風呂屋の前にいるんだけど…」が流れている。

    映画のイメージを逆手に取った勘違い…「犬神家の一族」というミステリーサスペンスから「幸福の黄色いハンカチ」というヒューマン・ロードへぶっ飛び、ヘイトクライムという誘拐事件へ展開させる筋は面白い。また黄色いハンカチは”帰宅を待つ希望”から”危険を知らせる”というパロディはセンスが良い。

    誘拐犯はこの大神家の主人が工場長をしている勤務先の非正規工員。近々行われる人員整理の対象者になっている。また工場長が宝くじが当たったことを吹聴している。そんな採用・就労形態の区別・差別が垣間見え、さらには俺オレ詐欺という犯罪まで持ち込んでおり、世相を意識、反映した描きは鋭いと思う。

    脚本の面白さを十分観(演出・演技)せていないのが残念であった。
    自分としては、もう少し硬質感があると好かったのだが…。
    次回公演を楽しみにしております

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    2017/04/25 20:47

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