忘れる日本人 公演情報 地点「忘れる日本人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    KAAT公演は初地点観劇の「悪霊」、「三人姉妹」、前回の「スポーツ劇」に続き四作目だが、毎回新たな舞台構造(役者の動作や発語を制約する法則性を伴う)を作ってみせ、想定など元よりしないが無意識の想定を必ずや裏切られるのが、今や快感である。
    今回は大スタから中スタに移ったが規模を縮めた訳ではなく、2スペースをぶち抜き、大スタにあるバルコニーが無い分むしろ開放感が増している。
    中央に白木の舟が置かれ、周囲の空間を十分にとって紅白の紐で四角の結界を低く渡してある。
    七人の俳優の衣裳が奇妙である。モンペ姿の男、着流し等、奇妙に「和」を混入し、最初は皆小さな日の丸のシールを貼ってある以外は統一感が無い。
    だが地点特有の喋りの前には、衣裳の違和感など背景程度である。
    と言っても今作ではテキストじたいが謎めき、不自然に区切る喋りはだいぶ抑えられていた。
    忘れる日本人」のタイトルが既に挑発的だが、手脚だか触角の先を小刻みに動かしながら動くミジンコのように動きながら喋るのが、今回のスタイル。微生物並みにすぐ忘れるという皮肉なのか、殊更に強調していないが、笑える。結界あたりの透明な壁に手が触れるとバックに流れるノイズが無音になり、結界から外に出ると不可思議な音に変わり、その者は喋りをやめて脳が停滞状態になる...忘却の時間だろうか?

    芝居の中盤から中央の舟に手が掛かる。これを抱えようとしたり実際に運ぶ様は、ちょうど舟が日本列島にも見えてきた頃合い、国を背負わされて右往左往する日本人を写して雄弁。
    地点の役者力を目の当たりにした。

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    2017/04/24 00:29

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