満足度★★★★★
第7回せんがわ劇場演劇コンクール オーディエンス賞受賞記念公演にして、この劇団の10周年記念公演第二弾でもある。
チラシにある説明文_認知症または法曹関係に興味がある人は、公演である事件のことを連想するだろう。この認知症に関する事件は多くの注目を集めたが、社会福祉制度にも関心が持たれ、本公演では、その部分は母親との約束事として切り離している。もっと言えば、制度面は切り捨て、母と子(息子)という人間ドラマという視点で描いている。
この劇団は、いつもであれば主宰のキムラ真氏が脚本・演出を手がけるところであるが、今回は演出を弦巻啓太氏(弦巻楽団)へ依頼している。当日パンフにキムラ氏は、初めてプロデュースのみの参加で、稽古場に全く顔出さなかったと記している。それを受けるように、弦巻氏は、家族をテーマにした作品は一本もなく、親子が登場した作品さえ殆どないと書いている。しかし、両者の思いはしっかり伝わるような…。先に書いた社会福祉という制度(枠)を外す事で、より親子関係が鮮明になり感情移入し易くなっていた。<★の回>
(上演時間1時間50分)
注目を集めた事件だけに、その裁判記録(事実)だけを追うのではなく、この公演では懸命に生きてきた親子と温かく見守る人々を描いている。
なお、判決とその後日譚は事実と違い、希望が持てるように感じたが…。
(2017年4月24日追記)