いかものぐるい 公演情報 オレンヂスタ「いかものぐるい」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    楽しめたが、爽快感はない。

    ネタバレBOX

    ■全体評

    大きく分けて、三つあった。
    ★ストーリーは、分かりやすい
    ★キャラの気持ちが伝わりづらい
    ★派手な演出は、好き
     
     
    ★ストーリーは、分かりやすい

    家族のストーリーと、街のストーリー。
    家族は交流がうすく、なんとなくつながっている。
    街は、リニア誘致活動としてアイドルや地元の名産をPRしている。
    そこを縦糸として、友情や愛情、憎しみを横糸にしている。

    引きこもりの主人公が、おじいさんと過ごす毎日。そのおじいさんが、認知症になってゆく。
    ロックボーカリストな姉は、着ぐるみを着ている変な彼氏と別れてくる。
    母は、勤め先の社長と不倫している。
    父は、農家づとめで、さえない男。
    だんだんと家族が壊れていく様が、派手な芝居に隠されて描かれている。

    街は、浮かれている。
    アイドルライブ。誘致の掛け声。景気のイイ話。
    夢をバラまき、にぎやかで幸福な時間をみせる。

    バラバラな家族と、団結する街角。
    別々のシーンが平行し、やがて交わる。
    不幸と幸福が顔をみせ、事件により突然の結末を迎える。

    アフタートークでは、日常と非日常(ケとハレ)と脚本家がネタばらし。。
    落語やダンス、歌をつかった派手な見せ方は、素直に楽しめた。
     
     
    ★キャラの気持ちが伝わりづらい

    一番感情移入すべき主人公たちが、分かりづらい。

    まず、理性で分かる行動理由が、希薄。
    学校にいかず、引きこもる理由。引け目、負い目、恥ずかしさ。何でもいいけど、セリフに表されたら。

    感情でいうと、仕草が分かりづらい。
    ヒロインに「次、いつ会える?」と聞かれても、「1年後」。これは、落語ネタにつながるのだが、照れ隠しとも感じられない。アイドルライブでヒロインを見かけても、じっと見つめる感じを受けない。
    ただ、凧づくりが好き、おじいさんが好きというくらい。
    視線を誘う仕草が足りないのと、円形劇場ゆえ死角なのか?

    感覚でいうと、不安感が伝わるくらい。
    例えば、ヒロインとの交流の記憶が、好感ではなく、悪夢におちる。食べたくない、不気味な食べ物の羅列。黒いビニールをまとったダンス。「気持ち悪い」ではなく、「変」。何がしたいんだ?と、戸惑った。

    周りのキャラたちが、分かりやすいだけに、ストーリーをまわすだけの狂言回しに見えた。
    楽しくも、哀しくもないのは、見ていてツラい。

    例えば、ヒロインの応援にいって、かすかに手をかざすとか。
    おじいさんとの別れのシーンに、「ぜんぶ無くなれ」みたいな破壊衝動を表すとか。
    (ゴムを口にくわえさせて、手を放すではなく)
    地味でも、感情をみせる役者の芝居が見たかった。

    アフタートークでは、「なんか闇なんですよ」と説明されたが、とりつく狂気や、悶える苦しみでは無かった。あえてあげるなら、お伽話の小鬼。黒テープや黒いごみ袋が、ガサガサ踊る感じ。妄想タイムなんだろうけど、感情を突き抜けてこない。何かが足りない。唐突さが目につく。

    派手なシーンが良いだけに、とても残念だった。
     
     
    ★派手な演出は、好き

    本職による、落語。
    劇中アイドルユニットのライブ。
    応援したり踊ったりする、観客役。
    バンドライブに、ヘッドバンキング、生音。
    アジる活動家。
    地元イベント。
    着ぐるみのコミカルさ。
    街コンに、恋のお悩み相談、観客参加。
    身体をくねらす、コンテンポラリーダンス。

    見映えのするシーン演出は、時間を忘れさせる。
     
     
    ■雑感

    黒いビニールは、「闇」というより、「夜風」を想わせた。チラシには、ノイズとあったが。

    凧上げに、風を逃がす説明セリフ。
    何か、待ちの姿勢。ただ、風が過ぎていく様に、立ち会う感じ。
    また、夜を過ごすうちに、夢をみて、また夜が白んでくるみたいな。

    街のストーリーは幕をおろしたけれど、家族たちの夜は長くて暗い。

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    2017/04/22 00:28

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