「うるさくて、うるさくて、耳を塞いでもやはりうるさくて」 公演情報 劇団時間制作「「うるさくて、うるさくて、耳を塞いでもやはりうるさくて」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2017/04/02 (日) 14:00

    2日午後、中野の劇場MOMOで上演された、劇団時間制作第13回公演『うるさくて、うるさくて、耳を塞いでもやはりうるさくて』を観てきた。過去に知人の役者が数回客演しており、観に行くたびに「難しいテーマをよくここまで舞台として作り込んだなぁ」と感心させられる劇団なので、今回も観に行くことにした。AB2チームが交代で演じている舞台のうち、自分が観たのはBチームの舞台。


    一口で内容を言うなら、統合失調症になった人間をめぐり、その周りの人間達の友情や家族愛のせめぎ合いと揺らぎを表していた。

    友人どうしてアパートの大家をやっていた2人の女子のうち1人(山下麻子・役名。以下同じ)が恋人との別れがきっかけで統合失調阿庄となり、不可解な行動を取るようになる。それを支えようとする相方の小林佐枝子や2人の友人でアパートの住人でもある証紙の関谷春代。病気になっても麻子を支えようとしていたのは、アパートの住人達も同じ。しかし病状はますます悪化し、近所で通行人が暴行されて意識不明になる事件が起き、麻子が犯人では内科という疑念が人々の心の中に生まれ、麻子の兄は彼女を精神病院に入院させる決心をする。入院に賛成するものと反対するものとの口論、個々の気持ちの葛藤。暴行された被害者の恋人がアパートに弁当を納入してくれている弁当屋とうこともあり、自体はますます複雑に。結末は悲惨さと悲しさあふれるモノで、その直前に語る佐枝子の台詞に考えさせれれた。舞台タイトルは、その時の台詞の一節である。

    個人的に、自分の周りにも統合失調症の知人が数人居るので、今回の舞台は他人事とは思えない気持ちで観ていた。むしろ、観ていて気持ちが締め付けられるというか、思いモノとなった。しかし、この難しいテーマを100分という時間に上手く収めた原作・脚本の谷の力にまず感心。縁者では、小林佐枝子役の前田沙耶香と関谷春代役の澤村菜央がなかなかの熱演。それにアパートの住人で関谷の教え子である長道里美役の西田薫子が地味ながら良い演技を魅せていた。

    重いテーマで何度も観たいとは思わない舞台ではあったが、完成度としてはここ数回観た時間制作の作品の中ではずば抜けている。息抜きに笑える箇所もあったが、それがなかったら見続けるのはしんどかった。観る者を暗い気持ちにさせながらも舞台に集中させていく手腕の巧さ。恐ろしい劇団である。よい舞台を魅せてもらった。

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    2017/04/05 14:09

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