「泣いた紫の花」「43回混ぜても灰色」【ご来場いただきありがとうございました!】 公演情報 劇団えのぐ「「泣いた紫の花」「43回混ぜても灰色」【ご来場いただきありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     父の死後、家族の面倒を見ることを任された長男・律は小説家である。

    ネタバレBOX

    彼の小説の特徴はその作品の優しさにある。それで女性ファンが多いのだが、スマホの時代になっても編集部へは生原稿で入稿している。偶々、彼に高校時代「小説でも書いてみろよ」と勧めた友人・真佐人は、脱稿した原稿を読んでファンになってしまった。それで彼の作品を書籍化する為に編集者になった。将来作家を目指した律は実際に作家になったのだが、字が汚くて真佐人以外彼の文字稿を判読できない。そんなこんなで、担当は真佐人ということになった。
     さて、近く律の新作が発表されることになっているのだが、パソコンの新OS発売戦略のように、発売日の午前0時まではその内容などは発表しない、というのが出版社の戦略であった。こんな訳で新刊の話は、原稿の受け取りや打ち合わせに作家の私宅にくる真佐人からも家族に明かされることは無かったのである。
     然し、7月1日発売の直前作家は不慮の死を遂げる。作家の弟・洸の女友達・亜樹が作家に憧れ、遂には恋に迄達していた。然し、17歳の少女は告白することができない。そのまま、時は過ぎ、作家は永遠に帰らぬ人となったのである。少女はそのショックで引き籠り学校も休むことになった。洸、姉・雛、妹・鈴、妹の親友・奈津美。律を恋い焦がれる亜樹との一期一会を丁寧に描いて泣かせる。偶々、奈津美が、鈴に貸していた漫画は、成仏できずに幽霊となって戻ってきてしまった者の顛末を描いた作品だったが、それを妹の読了後作家も借りていた。そんな伏線が一場で描かれている。
     二場では、この伏線を効かして弟にしか見えない幽霊となって兄が現れる。また、単身赴任している母についてのエピソードも、遂に刊行された作家初の家族作品の内容を通じて明らかになる。今作のタイトルに絡む紫陽花についてもその花言葉と共に語られるのだが、この場面及び姉に出されたミルクティーに纏わる話が肝となって泣かせるのだ。

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    2017/04/01 13:20

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