R・プロジェクトの学園天国! 公演情報 喜劇団R・プロジェクト「R・プロジェクトの学園天国!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

     演劇は、この世で最も手間暇の掛かる伝達手段だ。

    ネタバレBOX

    であるならそれを観た人々の心に何かを残したいではないか。それを目指さないなど勿体ない話だ。実際、一つの作品を上演する為には、多くの時間と費用そして労苦を費やす。そうして作り出される作品は、血が通って活き活きしているのみならず、人々の日々の生活に再考を迫ったり、潤いを与えたり、生きる力を与えることもあるだろう。そのようにして人々が夢を己の内側から構築する励みにする、或いは夢見る力を湧き出させる。人間の持つ業に対して対抗し得るような心と魂の耕作をする、腹の底から笑わせることによる異次元からの視座を提供するなど、演劇にしかできない訴え方をしてゆきたいものである。それでなければ余りにも勿体ないではないか? 
     今作、高校2年生のあるクラスでの授業風景を描いたものであるが、シナリオ自体に甘さがあって、全体にベタな表現になっている。上に挙げたようなことが実現できていなければ、自分は余り高い評価を与えることができない。
    一応、ブルセラのことが、中心テーマになっているのだが、根本的には、倫理観の崩壊がテーマである。日本ではある時期から、このことが社会全体に亘って蔓延しだし現在に及んでいる。森友問題を挙げるまでもない。政治屋から一般の大人子供に至る迄、総ての日本人が大きく道を踏み外してしまったのである。
    そこでは金さえ出せば何でもある。無いのは人間として如何に生きるか? という根本的問い掛けだけである。ユマニテが欠如しているのだ。人間性という日本語より、鋭い人間観察を含む人間らしさという概念の欠如或いは理想の欠如である。こういったことを根底に据え、倫理崩壊状況を上澄みとして描いてメタ構造化してゆくなり、論理展開をラディカルにして、ディスクールだけでドラマツルギーを紡ぐなり、或いは完全にはっちゃけ、シュールな演出を施して壊れて来た倫理過程を再現して見せるなりすれば、それなりの面白さを出せただろうが、そのような工夫も感じなかった。残念である

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    2017/03/24 16:13

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