うつろな重力 公演情報 シアターノーチラス「うつろな重力」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    人が持つ嫌らしい面、嫉妬、妬み、虚栄など心の奥底蠢く感情を覗き、時にそれを刺激する。そんな心理劇のようであった。

    閉塞感に満ちた部屋でむき出しの感情をさらけ出し、ぶつけ合い、滑稽にも思えるような登場人物。人を赦すこと、分かり合うことが苦しく困難になっている。人の心に巣食う闇の部分を抉り出しながら、その先にある幸せを掴もうとする。鬱積した気持を抑えきれず溢れ出す不平不満、出口が見えない濃密な会話が繰り広げられる。
    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、高瀬夫妻のリビング…当初はテーブルと椅子2脚のみ。極めてシンプルで、白基調であるため余計な生活臭がなく、人物にフォーカスした物語に徹したところが巧み。
    客席は2方向(L字型)、どちらに座っても舞台に近く濃密な会話が堪能できる。

    ポルノ小説家の夫と結婚した元雑誌編集者・姉(木村香織サン)の負の感情を中心に、彼女に関わる周囲の人々の思惑などが揺れ動く。
    梗概…結婚をして荒んだ生活を送る姉(木村香織サン)、幸福な結婚を目の前にした妹、境遇が高校時代とは逆転している姉と妹は複雑な感情でつながっている。姉がネズミ講を行っており、その関係で姉の目の前に、高校時代のクラスメイトが現れる。呪術研究会に所属していた彼女は秘密を明かす。「高校の時、あなたが不幸になるように呪いをかけた」。最初は信じていなかったが、少し不気味な感情に囚われ始める。その呪術をかけた動機…驚愕なラストシーン。

    呪いとは違うが、願掛けという神頼みの行為がある。こちらは事の成就を願うものであるが、人知れず行うお百度参りなどは、呪いの藁人形とは対極にあるよう。人の心の持ちようは、きれい事を言えば自分の心をどう操り、他の人をどう思い遣るか、その心の動き次第といったところ。このあやふやな心の動きこそタイトル…うつろう重力のようである。

    役者陣はそれぞれのキャラクターを立ち上げ、その関係性を十分認識した演技である。しっかりした適材適役で、それぞれの言葉(台詞)の応酬が物語の流れを作っている。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/03/17 20:49

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