STORE HOUSE Collection No.9 アジア週間 公演情報 ストアハウス「STORE HOUSE Collection No.9 アジア週間」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     ストアハウスコレクションNo.9アジア週間はー“私”なるものをめぐってーとサブタイトルが付けられているが、今作は台湾のShakespeare’s Wild Sisters Groupによる2人芝居だ。

    ネタバレBOX

    但し舞台上には観客席側を底辺とするようなスクリーンが丁度三角を為すように設けられており、舞台上で演じられる演技とバックヤード、ロビー、楽屋、劇場出入り口などに役者が移動して演ずる所作も映し出される仕組みになっている。タイトルのZodiacとはアメリカで60年代に起こった連続殺人事件の犯人が名乗っていた名である。正体は謎に包まれ、犯行予告や暗号文が多くの人々の関心を集めたことでも知られる。
     ファーストシーンは、犯人の呟きから始まるが、ロートレアモンの「マルドロールの歌」を彷彿とさせるような残虐性に満ち、その背景に犯人が抱え込んでいたであろう焦躁と苛立ち、アングロサクソン流のロゴス解釈によって割れる寸前の鏡に加わる様々な力、軋轢に対するニヒリスティックであると同時に悲壮な矛盾が見て取れるが、これらが矛盾として顕現してくる背景には、矢張り個々人ではどうにも対抗し切れない状況というものがあるであろう。犯罪者は、この状況を自らを社会の鏡とすることで乗り切ろうとしているように思われる。
     今作が台湾の劇団によって演じられている点も重要だと考える。台湾は中国との関係で国際的に困難な立場に置かれ、忍従を余儀なくされていることは周知の事実であるが、個々人の育ってきた環境や家族制度、文化などが危殆に瀕し、自らを形作ってきたもの・ことも崩壊の瀬戸際にある中で、契約を構成するロゴスによって切り刻まれる己は如何様に自己措定し得るのか? という本質的な問題を提起していると取った。

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    2017/03/04 17:42

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