全段通し 仮名手本忠臣蔵 公演情報 遊戯空間「全段通し 仮名手本忠臣蔵」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    花5つ星 必見!
     2011年中津川での初演から毎年朗読形式で上演されてきた今作だが、

    ネタバレBOX

    今回は、初めて台本を持たず、演劇形式での上演である。構成・演出・美術は、遊戯空間を主宰する篠本 賢一氏。シンプルだが、工夫の行き届いた美術に、今回は下手に和楽器、上手に洋楽器のチェロを配した生演奏で、実力のある演奏家たちの作品内容に合った音曲を聴きながらの観劇である。今回は、声の良い役者を集めることにも意を用い、シンプルな舞台装置故に、多彩な彩を盛り込み、象徴や観客のイマジネーションを生み出す種を提示することで抽象的でありながら、実に雄弁な舞台を作り出している。役者陣のレベルが高いこともあり、武士道の理の持つ残酷さに対して、人の情の多用な襞が浮き彫りになり、いやがうえにも観客の魂に食い込んでくる。音曲・照明の効果的で頗るセンスの良い演奏・技術が更にこの効果を絶大なものにする。
     オリジナルテキストが人形浄瑠璃の為に書かれたものであり、史実としての赤穂浪士の討ち入りがあった約50年後に、本当は武家体制批判として書かれた作品であるから、わざと時代をずらし、場所も鎌倉に移してあったりするし、登場人物の名なども無論、史実を類推できるが、実名は使われていない。まして、歌舞伎の演目として全十一段のうち、演じられる段は、実は余り多くなかった。全段通しは、遊戯空間が朗読形式で毎年演じてから、少しずつ広がってきているのだ。更にジャニーズではないが、歌舞伎の場合は、時代、時代の花形役者を引き立たせる為に、実に多くのアドリブが入ってしまって、全体としての統一に問題が生じることが多い。これらの弊害を避ける為に、遊戯空間では人形浄瑠璃オリジナルのテキストを用いているのである。実際、江戸時代の科白で語られるので、最初は少し戸惑う向きもあろうが、ついつい引き込まれて見ているうちに、数百年の時の差が言葉に与えた変化は問題でなくなる。そんなことより描かれている内容の普遍性が、演者・演出・効果などの統合によって観る者の内部にカタルシスを起こし、実に感動的な浄化を成し遂げてくれる。必見の舞台だ!

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    2017/02/17 13:59

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