やってきたゴドー 公演情報 劇団東京乾電池「やってきたゴドー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/01/21 (土)

    座席1階1列

    2週間前の「ゴドーを待ちながら」の躍動感に沸き立ったのと比べると、こちらの芝居はちょっと停滞感が強く、何とももさっとしたような芝居で、75分という時間がやけに長く感じられた。

    ネタバレBOX

    ゴドーは「私がゴドーです」と繰り替えすだけだし、それを無視し続けるウラジーミルとエストラゴン。ウラジーミルはやたら怒鳴り続ける。やたらと雄弁なラッキー。ステロタイプなセリフ回しを繰り返すポッツオ(私に聞いてください、と)。
    では、つまらなかったかというとそんなことはなく。よくよく、人間というのは勝手なもので、神を持て遊ぶ存在なのだな、あるいは、神は人間のおもちゃなんだなと思わせてくれる作品でもある。永遠と来ないゴドーを待ち続けるしかない人間の脆弱さ・矮小さが描かれた「ゴドーを待ちながら」に比して、この作品の人間は傲慢で尊大だ。やっと来たゴドーをひたすら無視し続け、その存在を顧みることをしない。自分たちの些末な事柄に延々と耽溺し続ける。繰り返される「受付」の手続きは、信仰や免罪さえも手続きなくしてはありえない、という形式主義。最後のシーンは、「神は死んだ」という比喩なのかな。(まあ生きていたけれど、これもゴドーが人間回帰した、まあ俗化したと取れないこともない)
    なので、何なちょっと陰鬱な気がしてしまった。
    やっぱり、ベケットさんが観たらどう感じたかを考えてしまう。別役さんはあ、そんなのどうでもよいよ、と言うかと思うけれど。どうとらえるかは様々でしょうけれど、一見の価値はありますよ。

    0

    2017/01/23 10:01

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大