カミサマの恋 公演情報 ことのはbox「カミサマの恋」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2017/01/22 (日)

    若干無理くりな感じはあるものの脚本が素晴らしい。
    「カミサマ」とはつまり人の「苦」を知る者なのだろう。
    「苦」を知って初めて言えることばがあるということを、道子は教えてくれる。
    それを伝えることの大切さも。

    ネタバレBOX

    上手床の間のようなスペースに掛け軸、祭壇のような段々に白い布、太鼓。
    下手にはソファと椅子、テーブルがあって客はまずここで相談事をする。
    そして「カミサマ」にきいてみましょう、と祭壇の前へ移る。

    「カミサマ」道子のところには引きこもりの息子のこと、嫁姑のことなど
    様々な悩み事が持ち込まれる。
    道子はそれを聞いて太鼓を叩いて神様にお尋ねし、神の言葉を伝える。
    人々は神様のことばを素直に聞いて実行する。
    ある日突然何年かぶりで道子の息子銀次郎が帰って来た。
    道子自身の辛い過去がよみがえってくる…。

    さすがに津軽弁は渡辺源四郎商店には敵わないが、努力の跡が感じられる。
    太鼓を叩きながら歌うような神様へのお尋ねもユーモラスで、思わず笑ってしまう。
    人生は“人の価値観を受容することの連続”だということが良く解る。
    それが出来ずに悩み、衝突し、決裂するのだ。
    人の価値観に耳を貸さない人々が、「カミサマ」道子のことばなら素直に聞く。
    道子の「まず人の話を聴く」姿勢が秀逸で、固い表情がほぐれていく様が自然。
    道子役木村望子さんのおばあさんぶりが素晴らしく、疲労感までが伝わって来た。

    元引きこもりの青年が、修行中の由紀に友人の信一をよろしくと頼む場面。
    引きこもりで学校へ行かなかった自分に、クラスの様子や行事のことを
    返信が無くてもメールし続けた信一への感謝の気持ちがあふれていて
    淡々とした台詞にボロ泣きした。
    もしかしたら終盤の盛り上がりのシーンよりも、客席が泣いたかもしれない。
    脚本の巧さと、役者の真摯な姿勢が見事に合致した場面だったと思う。

    畑澤氏の教育者としてのものの見方が私は好きだ。
    説教臭さを感じないでもないが、ユーモアと人の心への深い洞察力で
    その普遍性に納得してしまう。
    孤独な道子が人々に適切な助言をすることにより信頼を得て
    だからまた人が集まってくる、という循環が温かくほっとする。
    すべての人に先入観なしでまっすぐ向き合う道子の姿に、私も救われる思いがした。

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    2017/01/22 19:23

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  • 木村望子様
    丁寧なコメントを頂きましてありがとうございます。人の話を聴いて導くという生業は、身を削るような疲れる仕事ではないかと思います。その精魂込めて向き合った後の疲労感を観ていて感じました。こちらこそ素晴らしい作品をありがとうございました!

    2017/01/29 00:21

    このたびは「カミサマの恋」にご来場頂きまして、まことにありがとうございました。
    道子役の木村でございます。
    作品そのもの、そして私のことまで、身に余るお褒めの言葉を頂き、ただただありがたく、心より御礼申し上げます。
    書いて頂いたこと、本当に本当にうれしくて、何度も何度も読み返してしまいました。
    長く芝居をやっていても、こんなに評価して頂けたことは初めてです。
    いい作品に出合えたことと共に、心底、幸せを感じています。
    これからも精進して参りますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
    ありがとうございました!

    2017/01/26 21:47

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