やってきたゴドー 公演情報 劇団東京乾電池「やってきたゴドー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    とても刺激的だった。観念作品としての異常な可笑しさを、軽妙な「芝居」として成立させるすごさ。最終的には、脚本のもつ深みを考えさせられた。不条理劇というより、これこそが今の社会のリアリズム劇なんじゃないかとさえ思った。

    ネタバレBOX

     「解釈」とは作品の意義を狭めてしまうので、慎むべきだとは思うけれど、個人的にどう思ったかだけは書き残す。
     ゴドーは「神(ゴッド)」の隠喩か、それとも「死」の隠喩か、はたまた「幸福」「破局」、、、「生」の、、、様々な解釈が成り立つ。この問題は本家の『ゴドーを待ちながら』でも散々議論されてきた問題のため、今さら語ることではないか。
     話者の言葉を受け取らない相手。対話は成立せず、モノローグをお互いが語りながら、どんどん話はズレて展開し続ける。これは、まさに今のSNS型社会の在りようそのもの。ネットでの関係に限らず、実際の人間関係でも、このようなトンチンカンなやりとりは日常茶飯事。不条理劇というより、これこそリアリズムなんじゃないかというくらい。
     目の前にいる人の姿は見ず、言葉は聞かず。目の前の幸福にも気づかず。目の前の差し迫った危機・破局にも気づかず。誰しもが見て見ぬふりをしているのは「現実」そのものなんじゃないだろうか。そんなことを思った。

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    2017/01/20 20:34

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