ゴーラウンド 公演情報 法政大学Ⅰ部演劇研究会「ゴーラウンド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     原作は、ウクライナのアレクセイ・ライツキー。監視社会の中で作品の殆どは公演されずに終わったという。1993年に51歳で亡くなったというが、自分は初めて出会う作家である。

    ネタバレBOX


    だがこんなに優れた作家を探してくる法政Ⅰ劇、流石である。無論、今回も期待は裏切られなかった。実際、極東のこの辺りでは、息を吐くように嘘を吐くという内容の川柳が投稿されているらしいが、無論、ジャパンハンドラーの言うままに動く、植民地総理、安倍晋三という下司の話である。彼の虚ろな頭の所為で、迫りくる戦争の気配を実に正確且つ敏感に感じ取っている若者達のセンスの鋭さに思わず戦慄を覚えるような作品である。殊に避難民をこともなげに射殺するシーンの迫力は凄い。
     この凄味も、彼が学生時代はかなり上手いミュージッシャンで、プロとして食ってゆくだけの才能は無いと自覚できるだけの腕があった、ちょっとリアリスティックな視点を持つ学生という設定が効いている。
    つまり極めてありふれ、まったりした学生の日常や、避難民の子供の食べ物の好き嫌いを巡る小さなそしてどこにでもあるようなふくれっ面、若い恋人同士の淡い恋のさや当て、それらを極めて自然に生き、其処に生まれる何気ない日常が続いて行く中で、宇宙探査の為の機器が撃ち落されたことをきっかけに、多くの庶民が皆を守らねばと戦士になり、或いは自分の為と言いつつ戦争遂行の当事者となり、互いに銃を向け合って戦い合うのみならず、遂には核戦争迄行う。
    即ち愚かにも制御不能な状態に陥ってしまう。どんな結末を迎えることになるか? 誰もが明確に知り、その愚かさをも知り抜き乍ら誰も止めることができない。この恐怖と、そうなることを充分想像しており、尚且つ愚かな結末しか齎さないことを明確に認識しながら流されてゆく人々の哀れは殊更である。

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    2017/01/11 14:36

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