WHAT A WONDERFUL LIFE! 公演情報 タクフェス「WHAT A WONDERFUL LIFE!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    プロローグと4話オムニバスを紡いだ構成と展開は巧い。脚本はもちろん面白い、そして、それを観せるための演出と印象付けがしっかり意識されている。人生を四季に準(なぞら)えて悲喜こもごもをオムニバス形式にすることでメリハリを付け、笑いと涙で織り成す人生譚。
    東京グローブ座の高い空間の特長を活かし、舞台美術は少し高さのあるセットを設え、躍動感と心地よいテンポを持たせる。
    映像(デジタル)とは異なり、生身の人間(役者)が”居る”というアナログは、体現する演技が観客(自分)にストレートに伝わる。まさに同じ空間を共有し楽しむという演劇の醍醐味を味わうことが出来た。
    (本編:上演時間2時間30分、ライブイベント30分、計約3時間)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、高さと幅のある階段状が2つ、ハの字型に設え話ごとに可動・変形させる。上手側には季節感を表現する花や樹(例えば春は「桜」、秋は「紅葉」)、下手側にはその場面の特徴となる物(夏は「縁台」、冬は「屋台」)が置かれる。

    オムニバス4話(春夏秋冬の移ろい)
    春-主人公(宅間孝行サン)は29歳の銀行員。集金した金を競馬につぎ込みスッてしまう。何とか最終レース大穴狙いで取り戻そうとするが…。銀行員仲間や予想屋を巻き込んだドタバタ。行員の恋人がいたが、別れたようだ。

    夏-銀行を辞めアングラ劇団に入団。上演時間が迫る中、役者同士がゴタゴタする楽屋。役者の矜持・舞台に立つこと、興行の成否を気にする中年ならではの滋味ある話。

    秋-ヤクザ組織の若頭に。今日は親分の誕生日。親分を立て若い衆の面倒を見る。親分の娘の気まま・我がまま、若い衆の無鉄砲な行動が面白い。相思相愛と思っていた女性が敵対ヤクザの殺し屋と知り、悲しい結末へ…。

    冬-敵対するヤクザ組織から襲撃されるが、その場に居合わせた(新人)刑事の拳銃を奪い組員3人を射殺し逃亡する。あれから15年、時効成立まであとわずかというところ…プロローグの場面がこの4話目に繋がって来る。事件の真相は…。主人公にとっての人生とは何だったのか…。

    3話目迄は、面白可笑しく喜劇的な感じである。4話目は初老となった主人公の述懐、今までと一転し泣かせるシーンである。この落差ある構成は見事で、感動に打ち震える。
    総勢27名のキャストが登場するが、それぞれの役割・立場をしっかり弁えた演技で、そのバランスも良い。全体的に飄々としたシーンに軽妙な台詞が合わさり、観ていて気持ちが良い。やはりオムニバスというメリハリが利いた構成は分かり易く、観客の心を捉え易いと思う。そして味わいが違う話でありながら、人生という断面を上手く切り取り、それを軽重なく並列性を持った視点で描いているところに安定感を感じる。

    本編終演後は、芝居とは打って変わり観客を楽しませる、そんなサービス精神溢れるイベント(歌・ダンス)。本編(芝居)、イベントを通して3時間の長丁場であるが、それでも飽きることはない。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/12/31 14:06

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