満足度★★
■約80分■
妄想を扱うと知った時点で、なんと大胆な、と思った。
「妄想がテーマですよ」と宣告した上で芝居を打つのは、「面白い話をするね」と前置きしてから話を始めるのも同然で、相手の期待値を否でも応でも高めてしまう。
だって妄想である以上、作者は現実原則に縛られず、自由に、放縦に、持てる創意を駆使して、自分の信じる“とびきり面白い物語”を作りうるのだから。
が、予測のついたことではあるが、作中で展開されるいくつかの妄想のうち、いたずらに引き上げられたこちらの期待値を上回るものは一つとしてなかった。
今後は、「妄想」の二文字を軽々にタイトルに入れ込むのは控えたほうがよいのではないだろうか?