裏の泪と表の雨 公演情報 BuzzFestTheater「裏の泪と表の雨」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    面白い!【表の雨】
    劇団uzzFestTheaterの公演は、”てっぱん”のような面白さがある。当日パンフのご挨拶文_代表・藤馬ゆうや氏は「2016年は3回の公演を実現する事ができました」と記している。本公演以外は、「ユーカリ園の桜」「アイバノ☆シナリオ」であるが、どれも面白かった。

    本公演、舞台は大阪の西成区あいりん という地区というところ。自分はそこに住んだことがないので、その地区・地域の事情は分からない。しかし、パンフレットによるとションベン臭い街だとか。その街にあるお好み焼き屋で働く人、その周りの人々が生き活きと描かれていた。日常起こりそうな出来事、家族の絆といった人情世界に浸れる。街の情景は見えないが、その雰囲気は十分察することが出来る。

    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    劇場内の壁際にある板の間に座布団を敷き、急遽 桟敷席にするほど盛況(もっとも自由席は前3列で、うち2列はベンチ席になっているため、壁を背凭れにしたい人が敢えて利用していた)。開演が5分遅れたが、それを知らせるため、キャストの松島えいみサンがラウンドガール(水着姿)のようにボードを持って周知する。出演者情報を見ると本公演直後にラウンドガールを務めるらしいが、これも演出か?

    舞台セットは、お好み焼き「お喜代」の座敷。そこに上手側・下手側にテーブルが置かれ、壁にはメニューの貼り紙。下手側奥にガラス窓があり、その向こうに波板塀、蔦が見える。この窓に滴る雨が効果的で余韻を残す。タイトルの雨降りは、心の汗や泪と流すとともに、ションベン(臭さ)をも清める、そんな気持にさせる。

    梗概...両親の離婚によって離ればなれになった兄弟が28年ぶりに再会する。その時の長さを表すようなぎこちない態度・そぶりや会話。朴訥な話し方であるが、それゆえに滋味が感じられる。同じ頃、兄は離婚し店も譲り、新たな旅立ちを考えていた。また弟は別の意味で旅(高飛び)をしようとしていた。

    コメディであるが、その底流にはこの街独特の人情(在日韓国人の登場など)を絡める。ここに登場する人々は実に魅力的(俚言も含め)で、その街から本当に連れて来たのかと思わせるほどである。特におばちゃん安田邦子(山口智恵サン)は、そこに住んでいる典型的な人物像のようだ。
    作・演出のコウ カズヤ氏は、「出てくる人間達は、僕が今まで出会って来た人間がモデルになっている」と書いている。その自身の体験取材のようなことが、しっかり登場人物のキャラクターを書き分け、喜劇仕立てにしている。そして人の出会い別れ、そんな悲喜交々を通じて街を謳いあげた秀作。
    そして、人物以外に街という風景に1つの役を担わせたところに、コウ カズヤ氏のこの地区への愛情を窺い知ることができる。

    実に見応えのある公演であった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/12/14 17:48

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