「ヴルルの島 」 公演情報 おぼんろ「「ヴルルの島 」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    2回目の参加
    前回とは反対側の席から観る。
    ストーリーが判ったところで、今回は一人ひとりの台詞と声に集中して観たかった。
    わかっているのにやっぱり泣けちゃうんだよなぁ。
    それと今作品のビジュアルの美しさは必見。
    一人ひとりの衣装やかつらなどがぴったりハマって、作品の世界観を見事に表現している。
    創意工夫でしのいできた時代も素晴らしいが、このセンスと美しさも素晴らしい。


    ネタバレBOX

    おぼんろの魅力のひとつは、5人の役者さんがみな自立していることだと思う。
    脚本の末原さんが生み出したイメージに対して、他の4人は与えられたキャラを
    自分で構築していく、掘り下げていく、立ち上がらせ動かしていく。
    演出は、その5本の糸を縒り合わせてひとつの世界を創り出す作業だ。
    その結果がこの舞台であり、骨太なメッセージになる。

    トリツキ(わかばやしめぐみ)がシオコショウ(さひがしジュンペイ)に言う、
    「私はあなたがいないと生きていけないけど、あなたはそうじゃない、お勤めご苦労様」
    という台詞には、「死んだお前の兄貴に、トリツキは俺が守ると約束したんだ」という
    男に対する“寂しい抗議”のような女心がにじんでいる。
    シオコショウもまた、“大切なものを奪われる恐怖”を知ったと告白する場面で
    男の心情と弱さをストレートにさらけ出す。
    こういうところに微妙な大人の味わいがあってとても好きだ。

    ホシガリ(末原拓馬)とジャジャ(高橋倫平)の、次第に距離が縮まって行くあたりが良い。
    ジャジャが語る島の歴史に、「しんどいな」というホシガリのぶっきらぼうな共感が
    言葉少ないだけに深く伝わってくる。

    アゲタガリ(藤井としもり)の台詞の一定の音程、鼻歌さえも計算された音程で
    ロボットっぽく機械的でありながら台詞の絶妙な間が秀逸。
    終盤「タスケテアゲル」と船を下りるアゲタガリに、ホシガリが大切な笛を渡したとき
    「モラッテアゲル」と応じる台詞に万感の思いがこもると感じた人は多いと思う。
    ボロ泣きさせる素晴らしい間のひとつだった。
    アゲタガリ、どこかデヴィッド・ボウイを思わせるビジュアルが素敵。

    どんな芝居も好みは分かれるものだが、おぼんろは唯一無二のスタイルを確立した。
    次は“路上精神”と“劇団運営”の折り合いのつけ方だろう。
    そこをどんな風に見せてくれるのか、主催の才能とセンスを信じて期待している。
    この先メンバー5人が全身全霊で表現するものを見逃がしたくない。

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    2016/12/08 02:12

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