位置について 公演情報 かわいいコンビニ店員 飯田さん「位置について」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    台詞から気持が伝わる
    保育園の物語であるが、その展開は大人事情による目線で、保育園児との関わりはあまり見えてこない。ここでは保育園を取り巻く環境の厳しさ、そこで働く人々の悲喜こもごもが少しドタバタしたコメディ...とても面白く、長時間であるが飽きることはない。

    当日パンフに主宰の池内風 氏が「言葉とは、気持ちを伝えるための手段の1つに過ぎない」そして「複雑化させた言葉を巧みに操り、間接的に気持ちを伝える」と書いている。同感であるが、その延長線として、言葉を巧みに操れない、それゆえ純粋な園児と保育士(先生)の関係、その拙い言葉に気持が観えるような物語であってもよかったと...個人的には園児と先生の交流、それぞれの成長と旅立ちを観てみたかった。


    (上演時間2時間10分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、中央奥に中二階のようなスペースを作り、別場面を演出する。主な場所は、保育士の執務室兼休憩室のようなイメージである。上手側にピアノ、園児教室へ通じる出入り口、下手側は古びた木製事務机と椅子。事務用品やボードに留めたカード・写真が保育園らしさを出している。

    シチュエーションは、私立星和保育園の各保育士が抱えた喜びと苦悩を労働環境(条件)などのシステムと絡めて描く。特に主人公・安西春(笠井里美サン)が実母の浪費癖で金策工面等で休みが多く、交代シフトで他の先生に負担が掛かる。また、彼女のクラス(5歳児ゆり組)には仲の良くない園児がいるが、それは母親同士の確執のようだ。それが子供へ影響する。子を思う気持ちが高じてモンスターペアレンツへ。厳しい労働事情を前面に押し出しているが、その緩衝として女性が多い職場を反映して恋愛話を盛り込む。ラストは、大人事情が優先し園児たちの気持が置き去りにされたように思えたが...。

    保育現場の状況は、新聞やTVニュースで見聞きすることがあるが、それは何らかの事故があった時のこと。その都度喧伝される保育事情(待機保育も含め)は推測できるかもしれない(実態は正確に把握できない)。それを物語にしている。

    個人的には、保育園児と先生の関わりを中心に描いてほしかった。その場面は安西先生が子供に話しかける、その子になって喜び回るという一人芝居で見せてくれたが、そのシーンはとても印象的であった。親離れする一歩が保育園または幼稚園であろう。不安に思う子の手を離し先生に託す。そして子供は小さな保育園という社会(世界)の生活を経験する。
    一年を通じて、入園式・母の日・父の日・夏休みを経て、運動会・お遊戯会 そしてお別れ会など、さまざまなイベントがある。それだけ先生は大変な仕事、目に見えない苦労があろう。それを園児との関わりを通じて先生自身も成長していく。そんな有り触れた物語でも良かったと思う。

    安西先生の恋人・塩崎望(池内風サン)も会社を辞め、退職金を安西先生の母親の借金返済に充てる。そして安西先生の保育園での苦労を察して園を辞めることも選択肢であると...。タイトル「位置について」は、今までの生活(保育士)を見直しスタートラインに立つこと、物語のクライマックスの運動会にかけてのネーミングであろう。そこには自分達(大人事情)のスタートは見えるが、子供たちの気持ちはどうなったのか、気になるところ。

    この公演は役者陣の演技が素晴らしい。その先生のキャラクターと立場が鮮明で、物語をグイグイ引っ張る。唯一、新人男性保育士の野田洋平(堀雄貴サン)が優しいが優柔不断さで、濃い女優陣の演技をより際立たせていた。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/12/04 12:23

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